就活室便り | ファッション専門学校の東京服飾専門学校

就活室便り

~就活室便り~#16 染色いろいろ ジャパン・ベストニット・セレクションⅡ

~就活室便り~#16 染色いろいろ  ジャパン・ベストニット・セレクションⅡ

 

こんにちは。就活室のHANAZONOです。実は私は冬が苦手で、とにかく寒いのがどうにも
いけません。寒くないように厚着をして、と思うのですが、重ね着もコートもなんだか着こ
なしがうまくいきません。寒いのがだめで着こなしもだめ、ということでできれば3月ぐらい
まで冬眠して過ごしたいとも思うのですが、それが許される環境にいたこともありません。
朝起きるのが特につらいですよね。と言いながら猫当番で朝食当番の私は結局家族の中で一番
早く起きねばならず、冬眠は夢のまた夢、春の訪れが待ち遠しいばかりです。

 


前回に引き続き今回もジャパン・ベストニット・セレクションにてお話しさせていただいた
企業の紹介をしたいと思います。まず最初は内田染工場様。ニット製品の染色の会社です。
創業115年という老舗で、住所はなんと白山!ご近所様です。大抵洗工場、縫製工場の場合、
工場は地方にあり、東京は事務所だけ、という会社がほとんどですが内田染工場さんの場合は
全て白山で生産されているとのこと。まさしくMADE IN TOKYOですね。

写真を見ておわかりいただけるかどうかわかりませんが、Tシャツの染色でも抜染剤を使いながら、
最初からブリーチ感覚が楽しめる染色をされています。染める時の生地の折り返し具合の違いなど
でどれも一様の色になることはなく、一着一着ブリーチ、濃淡、グラデーションの出方が違う染色
方法で、それを再現性がない、という欠点に捉えるか、一着一着がオンリーワン、という魅力に
捉えるか、捉え方は人それぞれと思いますが、現在では魅力に感じる方の方が圧倒的に多いのでは
ないでしょうか。その他特殊染からウール系のセーターまで様々な製品を染色していらっしゃいます。
ご近所ということもあり、ぜひ一度学生と一緒にお伺いしたいと思っています。見学だけでなく、
何らかの共同作業もできたら良いですね。

 

次にご紹介するのは小倉メリヤス製造所様。こちらも創業95年という老舗です。墨田区に本社を構え、
工場は栃木県佐野にあるそうです。

こちらで目を引くのはプリントデニムです。

写真を見ておわかりでしょうか。この色落ち加減は全部おプリントの表現で実際は一切の洗い加工は
していません。裏はこんな感じです。


まさに先染め感満載ですが実はこれもプリント。表裏プリントすることで普通のデニムと見た目では
区別がつきません。洗い工程をなくしたことで、水の使用量を90%カットすることができ、なお、
洗いや脱色をしていない副産物として染色堅牢度が飛躍的にアップしたとのこと。当然ブリーチ柄は
自由に設定できるので、デザイナーの以降に合わせたどんな表現も可能です。以前は、あれだけ流行
したサンドウオッシュが工員の健康問題で一気になくなったことがありましたが、今回は人体だけで
なく環境にも配慮し、なおかつ柄の自由度が高く、洗った後の処理もないため生産性は向上し、素材の
自由度も非常に高くなっています。写真ではわかりにくいのですが、最初の写真の1番手前にあるGパン
の素材はニットで(そう見えませんよね)、あまり激しい洗い加工には耐えられないように思える柔ら
かく薄手の素材です。それがこの見え方に染色できるのですから素材の幅は飛躍的に広がったと言って
良いでしょう。

その技術の応用で様々な防水、撥水加工、ラミネート、片面吸水/片面ドライ乾燥加工といった数多くの
加工をしていらっしゃいます(というよりデニムプリントの方がその技術の応用だと思うのですが)。
UV加工、シルクプロテイン加工などは紫外線対策、肌の保護、といった今求められるものがいっぱい
詰まった技術と言えるのではないでしょうか。

 

佐野工場では染色だけでなく製品の縫製もされており、縫製スタッフも募集中とのこと。栃木が実家の方、
一度ご検討なさってはいかがでしょうか。

現在縫製品は98.5%が輸入品となり、国内生産は1.5%に過ぎません。しかしだからといって技術的には
輸入品に劣っているどころかまさしく世界一と呼ばれる技術が数多くあります。この世界一の技術を、
世界に向けてどんどんアピールしていけたら、と思わない日はありません。

豊臣秀吉が6ヶ月という短期間で築いた肥前名護屋城。これを現代のゼネコンが、現代の技術で、現在の
重機を駆使して建築したとすると、最低でも3年はかかるそうです。そんな現代の技術も重機もかなわない
当時の築城技術も、城造りを辞めた途端、すぐに失われてしまいました。それは日本だけでなく、多分ピラ
ミッドにしても、世界の7不思議って多分そういうように普通の技術だったものがいつの間にか‘不思議‘に
なっていったんだと思います。

縫製にしろ染色にしろ編織にしろ日本にしかない技術はいっぱいあります。これを次代に引き継いでいか
ないと日本にはまた沢山の“不思議“だけが残されることになります。あるアパレルのMDと話していた時、
このまま行くと後数年後には日本でジャケットが縫える工場がなくなるのではないか、という話題になり
ました。

内田染工場でお相手してくださったKさんは、文化服装学院のご出身だそうで、学生時代に一度授業で内田
染工場さんとコラボし、就職は他の企業に就職したものの、その学生時代の体験が忘れられず、結局出戻り
とは言いませんがお世話になることになったそうです。今後みなさんにそんな体験のお手伝いが少しだけで
も出来たら、そして日本の技術を引き継いでいっていただけたらと思います。

現在では新技術というとIT系に限定されてしまいがちですが、繊維服飾系(昔は漢字のつくりから、“いとへん“
業界と呼ばれました)の技術は奥が深いですよ。そんな深みにどっぷり浸かってみたい方、応援しています。

 

染色いろいろ。色柄いろいろ。今回のジャパン・ベストニット・セレクション、染色もそうですが、ニットは
型の自由度も高く、いろいろ見どころ満載でした。今後もこんな情報を少しずつでもおお伝えしていけたらと
思っています。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

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~就活室便り~#15 Apex Fizで乾杯 ジャパン・ベストニット・セレクション

~就活室便り~#15 Apex  Fizで乾杯 ジャパン・ベストニット・セレクション

 

こんにちは。就活室のHANAZONOです。先日やっとクリスマスツリーを出し、リースを玄関ドアに
飾って我が家でもだんだんクリスマスモードに入ってきました。年末に向けてなんだか急に寒くも
なってきたようで、冬支度、クリスマス、新年の準備とあわただしい季節になってきました。12月は、
8日が初めて我が家に猫がやってきた記念日(捨て猫ですが自分で捕まえて保護しました)、25日と
28日は子供の誕生日、とクリスマスとあわせてパーティーが延々と続く月です。25日が誕生日と
クリスマスとかぶっているのですがパーティーは絶対に別々が良い、との本人の希望でパーティーの
回数は増えることはあっても減ることはありません。25日前後にケーキを買いにいくと、ろうそくを
追加で依頼している方が思ったより多いような気がします。パーティーは1回で済まされているのか
どうか、よそのうちの事情もなんとなく気にかかるところです。

 

12月3日、4日の2日間、ジャパン・ベストニット・セレクションが浜松町の都立貿易産業センターで
開催されました。ちょっとすごい混雑でびっくりしましたけれど、その中でお話を伺ったいくつかの
企業をご紹介したいと思います。

 

まず最初は島精機様。島精機といえばホールガーメント(完全無縫製横編み機)を独自に開発し、
従来のニット製品にあった裁断、リンキング、縫い目、等をすべてなくし、ニットの持つ伸縮性を
最大限に活かしながら立体的で着やすく、しかも裁断がないので裁断くずも出ないという、着易さと
SDGsを両立した、革命的な編み機です。紙に印刷された世界地図から地球儀を作ることは至難の業
ですが、この機会を使えば最初から立体の地球儀が出てくる、そんなイメージです。着ていて邪魔に
なる縫い目がないため着ていて着やすく、従来の縫製部分が伸縮しないカットソーの弱点を克服し、
縫い代がないためシルエットもすっきりするという、ニットの弱点をほぼ解消した製法といえると
思います。最近ではいろんなところでシームレスニットの文字を目にしますが、あの超大手の製品も、
みな島精機の編み機を使った製品です。

というようなことは業界ではかなり有名なことで、というか常識になっているのですが、その島精機
さんが開発したApex Fiz Designというソフトです。

 

 下の写真を見て頂きたいのですが、同じ2枚のウールのチェックの生地スワッチがあります。この
左右の違いがわかりますでしょうか。

答えは向かって右は本物の生地、左は印刷です。

このApex Fiz Designというソフトは、illustrator、等のほかのソフトと違い、実際の糸をスキャンする
ことでテキスタイル・デザイン・シュミレーションに革新的なリアリティーを持ち込むことが可能に
なりました。従来でしたら柄のピッチ、配色の変更、等の確認の場合には試織しなければならず、
それには多大なリードタイムとコストがかかりました。それが不要になったばかりかCADと連動する
ことにより製品イメージの確認もできるようになったのです。製品サンプルを1着作れば各色サンプルは
その写真を加工するだけで各色サンプルも不要ならネット通販、カタログの写真撮影も不要になった
のです。

お話をお伺いしたらシャツ専業アパレルのK社のシャツ、ネクタイのWEBカタログはこのシステムを
使用した合成写真だそうです。超人気アパレルA社もサンプル作成は一色だけでほかの色はやはり合成
だそうです。その画像も見せていただきましたが、画面で見るとなおさらどれが実写でどれが合成かは
わかりづらいです。このシステムが製品企画時にもたらすメリットはものすごいものがありますが、
WEBカタログ作成時の時短、コストの削減にもたらす効果はそれ以上かもしれません。なんかひょっと
したらアパレルメーカー就職時にこのソフトを使用できるかどうかが必須項目になるかも知れません。

 

何事も百聞は一見に如かず、ということで、学生と一緒に企業訪問させていただくお願いをしてきま
した。このシステムに興味を持ち、覚えようという意欲がある学生がいたら応援したいと思いますし、
それ以上にこんなシステムの開発にたずさわりたい、ホールガーメントをより深く学びたい、などの
理由で島精機さんに就職したい、という学生がいたらそれも応援したいと思います。ただし、開発は
本社で、すなわち和歌山ですよ。和歌山に引っ越してでも島精機さんで働きたい、という学生が出たら
それはそれでなんかいいな、と思います。

カツオでもタイでも、みんなおいしそうですよね。

 

と、いう話をしていたらやはり紙面が尽きてしまったようです。今回の展示会参加企業の中で少なく
ともあと2社はご紹介したいので期待していただけたらと思います。

 

今年もあと少し。風邪ひかずに頑張って行きましょう。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

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~就活室便り~#14 3D モデリングとハレルヤ

~就活室便り~#14  3Dモデリングとハレルヤ

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。季節は少しずつ進み、と思っていたら
いつの間にかもう12月、今年も残すところあとわずかとなりました。わたし個人的には
とにかくいろんなことがあった激動の年だったのですが、みなさんはいかがだったで
しょうか。年が改まったからといってすべてが変わるわけではないので(わたしは今年は
見事に変わりましたが)、年末とか年始とかってあまり意識したことはないのですが、
昨日何の予備知識もなく、リリースされたばかりのショーン・メンデスの新譜を聴いて
みると、ラストナンバーでレナード・コーエンの「ハレルヤ」をカバーしていました。
この静かなメロディーと説教臭い歌詞で有名なこの曲(あくまでも私見です)を聞いて
いると、どうしてもクリスマスを意識しますね。なかなかキリスト教の信仰の話は
個人的に理解の及ばないところがありますが、なぜかクリスマスの意味だけは理解して
いる気になっています。みなさん、良いクリスマスになることを願っています。

 

さて、就活室便りですが、今回がジャパンクリエーション編第3弾になります。テキ
スタイルコンバーターはかなりの数の企業が縮小、撤退していきましたが、その中で、
例外的に業績を伸ばした、というか、伸ばし続けている企業、サンウェル様をご紹介します。

現在アパレル製品の98%以上が輸入品になり、国内の生産は厳しい現実に直面しています。
テキスタイルコンバーター各社が在庫の圧縮を迫られ、受注分しか生産できず、それゆえ
納期、価格共、アパレル各社の対応が困難になっていく中、逆に自社企画の商品の在庫を
しっかり持ち、納期を短縮化し、生地オーダー後に不足が出た時のフォローもしっかりする、
といったテキスタイルコンバーターとして当然といえば当然の業務を積み重ねることに
よって業績を伸ばしてきた会社がサンウェル様です。わたし個人の感想としては今元気な
生地屋さんベスト3に入る会社だと思います。そしてその3社共、本社は関西です。やはり、
特に繊維の商売は大阪強いですね。

 

そんなサンウェルさん、2年前から「3Dモデリングサービス」を始めました。これは同社の
生地を3Dデータ化し、パソコンやスマホで生地や製品が見られるというサービスです。

 

現在アパレル企業では3Dモデリング、バーチャル試着の導入が始まっています。2Dの
製品パターンをパソコンで3D製品としてアバターに装着、物理的にサンプルを制作しなく
ても製品検討が可能になり、アパレルのコストカットと資源の無駄遣いの削減につながる
技術として注目されています。製品サンプルはファーストサンプルから仕様の変更があれば
そのサンプルは市場に出ることもなく処分対象としてその後日の目を見ることはありません。
それ以降も仕様に修正があればセカンドサンプルもサードサンプルもその運命は一緒です。

それに対し3Ⅾモデリングは丈、袖の長さ、細部のデザイン、等細かな修正がパソコン上で
修正可能で、修正サンプルを作らなくてもデザインの修正点の確認が可能なため、これを
企画会議にそのまま使用すればサンプル数の削減とリードタイムの減少につながることは
間違いありません。

 

サンウェル様の3Ⅾモデリングサービスはこういった3Dモデリングの仕様にに対応するもの
です。アバターの服にその生地を選べば、色、柄だけでなく、光沢、落ち、揺れ感、等々
様々な生地の情報を伝えてくれます。

アパレルはサンプル作成時にまず一着分の用尺の生地をオーダーします。これを業界用語で
「着分」といいます。その後修正がある度に一着々ずつ着分を追加し、最後に進行する全色の
サンプルを作ります。これは「各色サンプル」と呼ばれるものです。そして着分のオーダーも
その分追加になります。

 

アパレル各社は基本的に必ずシーズンごとの展示会を開き、そこでお客様の意見を聞き、
修正点をまとめ、受注を取ることで発注数量を決め、原材料をオーダーします。そこで修正が
あった場合はその各色サンプルも当然良品として日の目を見ることはありません。これらの
サンプルの無駄がアパレル産業の環境に対する厳しい評価になっている一因でもあります。

3Dモデリングの技術はこれらの無駄を少しでも少なくしていく点に貢献し、その意味で地球に
やさしい技術と言えます。アパレルの無駄の解消に役立つだけでなく、生地屋さんにしても
カットの手間と小口出荷の繰り返しという手のかかる作業の減少、その間の小口輸送の縮小に
よる運送業のエネルギーカットにつながる、等地球にやさしい点は枚挙にいとまがありません。

わたしも実際サンウェル様のブースで拝見し驚いたのですがアバターをかなりの運動量で
動かすことができ、まさに生地の落ち、ドレープ性が実際のサンプルが動いているように
見てとれるのにはびっくりしました。ではその写真を載せればすぐわかるじゃないか、
と言われると思いますが、何せ素人カメラマンのやることなのでお見せできる写真がない
のはご容赦ください。いつかは写真もうまく撮れるようになろうと思います。

 

その代わり授業として何回かサンウェル様に訪問させていただき、一度本校にもお招き
して講義をしていただきたいと考えています。会社訪問に関しては将来のデザイナー、
パタンナーを目指すコースの学生を優先して参加させ、それ以外にも将来のMD候補でも
あるビジネス科のみなさまもお連れできたらな、と思っています。

 

今後さらに発展していくであろう3Dモデリングの技術。それでは将来パタンナー職は
無くなるのでしょうか。答えはNOだと思います。着ごごち、触りごこち、暖かさ、涼しさ、
等服にはどうしても着て見て触ってみなければわからない点があまりにも多いからです。
これがこの業界の魅力であり難しさであり醍醐味だと思います。みなさんも今後服飾の
魅力に肩までどっぷり浸かっていきましょう。とは言っても地球環境を考えても無駄は
無駄で極力省いていくべきです。しかし省きすぎて良いものがなくなってしまう、これでは
SDGsとは呼べない、という話です。みなさんも無駄は極力省きながらクリエイティブな
造形に磨きをかけていきましょう。

 

冒頭の「ハレルヤ」という曲では信仰とそれを守ることが誘惑の多い現生ではいかに
難しいか、ということが歌われています。誘惑に負けて最後に絞り出した言葉が「ハレルヤ」、
というようなちょっと説教くさい曲ですが、私たちもSDGsの信仰だけにかたよると大切な
ものをなくしてしまうかもしれません。要は偏らず、慎重に、広い視野で、楽しさを忘れずに、
というようなことを言いたかったのですが少しはわかっていただけたでしょうか。

 

来週からはまた別の展示会情報をお伝えできればと思っています。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

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~就活室便り=#13 ふたこぶらくだとあったか起毛

~就活室便り~#13 ふたこぶらくだとあったか起毛

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。昼はともかく朝晩はだいぶ冷える
ようになってきたので特に私を含む遠距離通勤者は少し温かいアウターが欲しくなり
ますね。でも脱ぎ着して手にもって重いとか厚いとか邪魔になる素材は敬遠しがち
ですね。ただでさえ朝家を出る時の空がだんだん暗くなってくるとそれだけで寒さを
感じます。昼との寒暖差が結構あるので着るもので調節、って結構むずかしいと思い
ます。軽く、薄く、暖かい、そんな素材をジャパンクリエーションのブースでいくつ
か見つけたのでその報告をさせて頂きたいと思います。

 

まずは株式会社ラインズ クリスタルクロス事業部さんの「クリスタルキャメル」。
ここは元々クリスタルクロスという名前でヨーロッパからのインポート生地100%の
テキスタイルコンバーターだったのですが、昨今の円安とコロナおよびウクライナ侵攻
以降の運賃値上がりでそのままの経営が難しく、大阪のアパレル企業の買収、資金援助
を受け形態を変更し、それでも以前と変わらず他にはない独自の素材が売りの会社です。

 

今回の売りは極薄中綿で素材はキャメル。私もまったく知らなかったのですが、ひとこぶ
らくだの生息地は非常に暑い地域、ふたこぶらくだは夏は45度、厳冬期には-30度を記録
するような過酷な環境を生き抜いているそうです。そのため、ふたこぶらくだの原毛はきわ
めて細く、暑さに耐える吸湿性と寒さに耐える保温性を兼ね備えているそうです。私も実際の
シート状にしたキャメルの中綿を見せていただきましたが今まで見たことがないほど薄く、
軽いものでした。当然その中綿を使った製品も薄く、軽くなり、脱ぎ着しやすく暖冬が続く
日本ではぴったりの素材だと思います。また、薄いシートのため、ダウンよりはデザイン的な
自由度はかなり大きいです。

 

採取方法は放牧地で自由に過ごす中で自然に抜け落ちた毛を採取、もしくはブラッシングする
という方法で集めているそうです。そのため年間生産量はウールの0.1%しかなく、その分高価で、
それが最大の弱点といえます。

 

みなさんダウンの採取方法を知っていますか?基本的には水鳥の毛を生きたままむしり取ります。
その数か月後、また羽が生えそろってきたらまたむしり、ストレスに耐え切れず死亡した水鳥のみ
食用になります。羊毛も毛を無理やり刈り取るという点では羊にストレスがかかります。特にメリ
ノ種は羊毛の量が多く取れるように体中しわができるように改良したため、臀部や陰部のしわに
糞がたまりやすくウジ虫が湧いてしまい、その対策のため皮膚の一部を無麻酔で切り取ってしまう
「ミュールジング」という行為が行われています。日本では無印良品をはじめとしてノンミュール
ジングウールを使用するメーカーが増えつつありますが、いずれにしろ羊毛の最大の産地オースト
ラリアではこの行為を規制する動きはありません。この2例と比べるといかにらくだの原料採取方法
が動物にストレスをかけない「アニマルウェルフェア」の考えに適しているかわかります。その分
ダウンより値段は高くなりますがその薄さ、軽さ、デザイン性だけでも選ぶ価値はありそうです。
クリスタルクロス事業部ではこの中綿を使った製品のOEM, ODMも受け付けているそうなので実際
店頭で見たときには一度ご試着なさってみてください。製品サンプルの写真を紹介しておきます。

次に紹介させていただくのはIAAZAJホールディングさん。グループの中心は第一編物さんで
富山のニット、生地製品メーカーです。ここではニット素材の編み、染色、後加工から自社で
縫製工場も運営し、子供服はアパレルブランドまで持っているのでデザイナー、パタンナー、
縫製技術者、営業、と幅広く就職でもお世話になれそうですね。

 

今回特殊技術ということで企業秘密に係ることは詳しく説明していただけなかったのですが、
こんな裏が透けて見えるような薄手のニットスポーツウェアですが、

実は裏を見ると超繊細な起毛が施してあるという、まさしく軽く、薄く,暖かいの言葉がぴったり
当てはまる製品になっています。この製品は大手スポーツメーカーからの引き合いも多く、また
自社ブランドとしても展開しているようです。

日本はこのように地方、非大企業(IAAZAJホールディングさんを中小企業と呼ぶには抵抗が
あるので)から新技術、新商品がどんどん出てくることが強みだと思います。みなさんも東京
だけでなく、いろんな土地、いろんな地方で自分のやりたい仕事に就くことも考えてみてくだ
さい。私もいろんな土地のいろんな企業をどんどん紹介していきたいと思います。

 

年末まであと数件展示会があり、魅力的な企業があればどんどん紹介していきたいと思います。

 

ではまた。

 

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~就活室便り~#12 ジャパンクリエーションにて

~就活室便り~#12 ジャパンクリエーションにて

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。気温もだいぶ下がり、やっと
秋らしくなってきました。もうすでにダウン、中綿系をデビューしている人から、
かたくなに半袖の人まで季節の変わり目は色々ですね。それでもまだ都内では
紅葉には程遠いようで、特にイチョウなんかは年末までいっちゃうかなあ、
という雰囲気ですね。街中では栗や焼き芋の文字があふれ、味覚は一足先に
秋本番のようです。

 

11月6,7の両日東京国際フォーラムで開催されたジャパンクリエーションに
行ってきました。テキスタイル総合合同展としては国内最大の展示会であり、
そのコンセプト、トレンド分析の質は、プルミエールビジョンに近いものが
あると思います。入場すると真ん中に各社の次期主力素材INDEXがテーマごと
に並べられ、その右側が産地ブース、産地出展コーナー、左側にテキスタイル
メーカー、コンバーターの出展ブースが並ぶのは従来通り。

たとえどんなに技術が進んでもファッションの世界はハイテクよりはハイ
タッチ。結構広いインデックスコーナーの各素材をくまなく触っていきます。
表面感、光沢、風合い、落ち、発色性、軽さ(重さ)、暖かみ、ふくらみ、
シャリ感、透け感、等々それぞれの生地で特徴が違います。

この隣にはテキスタイル人気投票コーナーがあり、多くの人が投票していま
した(私もしました)。以前はあくまでも「ビジネスの場」としての展示会
ということで学生は入場できませんでしたが前回より学生の入場が可能になり、
人気投票コーナーでは高校生の姿が目立ちました。次代をしょって立つ学生たち
にぜひ最新のテキスタイルを見ていただきたいですね。

 

私は多分ジャパンクリエーションの皆勤賞をいただいてもいいと思うくらい毎回
参加しているのですが、その中で一番の楽しみの1つは東レさんのブースです。
はっきり言って合繊メーカーの中で素材開発力で東レさんにかなうメーカーがある
ように思えません。植物由来、リサイクルは当たり前、今回も遮光素材、撥水、
疑似シルク、等幅広く出展していらっしゃいました。特にこの3体に使用している
素材の完成度が高かったです。

もちろん東レさんといえば合皮、スエードを抜きには語れませんが、今回はその
中でも「ウルトラスエード」というブランドに絞り込んで陳列していらっしゃい
ました。ウルトラスエードも年々バリエーションが増え、後加工と合わせると
まさに1大ブランドとなります。

 

さて、それ以外の気になったブースを紹介、といったところでちょうどお時間と
なったようです。次回にいくつかのブースを紹介させて頂きたいと思います。

ただジャパンクリエーションの名称で行われるのも今回で最後。次回からは
「TOKYO TEXTILE SCOPE」という名称で場所も東京都立産業貿易センター
浜松町館に移り来年5月に開催されます。好評な展示会であれば何の変更もなく
継続して開催されるはずですが色々変更がある、ということはとにかくそういう
ことです。技術的には世界最高峰といっていい日本のテキスタイルこれからも
どんどん発展していって欲しいと思います。

 

全体の流れだけの話になってしまいましたが次回はもっと具体例を紹介させて
いただきます。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

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~就活室便り~2024#11 真の衣服のリサイクルとは

~就活室便り~#11

 

真の衣服のリサイクルとは

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。今年は11月になっても台風、
秋雨前線の影響ですっきりしない雨の日が多かったり、なんかもっとすっきり、
秋晴れ、といきたいところですがなかなかうまくいかないですね。それでも、
今年はゴアテックスのスニーカーを買いまして、それで少し雨の日の外出が億劫
ではなくなりました。道具に凝るって、結構良いですよ。

 

さて、前回からのPLUG IN 訪問の続きですが、今回は服のリサイクルについて
お話させていただきます。以前お話させていただいたように、リサイクル繊維は
ポリエステルが中心でそのほとんどがペットボトル等からのリサイクル糸で実際の
古着からリサイクルされるものはほとんどありません。また、再生ペットボトルは
また再生できますが再生ポリエステル糸をさらに再生することはできませんでした。
これは、リサイクルの輪を止めているといわれてもしょうがない状況です。

 

今回訪問させて頂いた一般社団法人ウィゾール様。ここでは原材料は、全て回収
した
衣料100%です。回収した衣料は素材別に選別し、付属関係を全て取り除き、
細かく粉砕した後、その繊維原料の段階で
着色し、その後紡糸して再生糸;Re:Yarn
へと生まれ変わります。

 

複合繊維で再生できないもの、繊維くず、皮革、等の糸に戻せないものはボード、
紙、バイオコークス(燃料)、肥料(ウールを原料とする)になります。

このソファー、テーブル、後ろの本棚、その中の糸、繊維、等全てが繊維よりの
再生製品です。

こちらの写真では製品は全て再生糸からの製品、使用しているハンガー、衣料品
回収ボックス、等は衣料よりのリサイクルボード、奥に小さく見えるポケット
ティッシュはカバーがリサイクルヤーン、紙が繊維よりの再生紙です。先ほどの
ソファー、本棚、等と合わせていくと、商品含め衣料品よりのリサイクル原料
だけで一つの売り場を構成できてしまう、ということになります。

 

現在も衣料品回収ボックスを置いている売り場がありますが、従来の回収業者は
その回収に、年会費、従量課金、専用段ボール買取、月額最低利用料、送料、
とかなりのコストがかかるようで、それゆえ回収ボックスを設置できないお店が
かなりあるのが現状のようですが、この法人では年会費、従量課金がなく、
段ボールも買取ではなく廃棄寸前の古い段ボールでOK
とのこと。導入のしきいが
かなり低くなっています。なお、学校法人にはさらにお得に設置してくれるそう
ですよ。また、回収ボックスは、学校なら自作のものでもいいそうです。

それだけ逆に、再生ボードを使った回収ボックスが店頭で人気で数が足りない、
という理由もあるようですが。

衣料品に留まらず、コーヒー豆を運ぶ時の麻袋とかも再生しているそうで、この
麻袋は本当に棄てる以外の用途がなかったようですが、それが服に生まれ変わっ
たり、将来のコーヒー売り場の什器がすべて麻袋由来のものになっているかも
しれません。

いずれにしろリサイクルの輪を止めない再生繊維というこの方法が、繊維リサイクル
の道としては現状高評価である、といえると思います。

ではその再生糸はどこで買えてどこで製品を作ってくれるの?ということになるの
ですが、それが株式会社アミアズ様になります。

元々このアミアズ様の社長が、リサイクルで金儲けしてはならない、ということで
リサイクル事業を本業から引き離し一般法人化したのが先程のウィゾール様で、
本業のアミアズ様はOEM,ODM
の会社になります。場所は千駄ヶ谷にありながら、
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種類のミシン、アイロン、検針機、等必要な設備はすべてそろえ、ホールガーメント
編機まで置き、サンプルから量産まで全て対応可能とのこと。学生、インフルエンサー、
クリエーターなどのブランド立ち上げ支援、仕様書、パターンの作成や生地・資材などの
提案、手配、等種々の業務をされているようです。パターンを学んだ人、仕様書を学んだ
人、生地、付属の手配からその後の納品までのケア、新規先との打ち合わせ、等々、
ミシンもあるので縫製までも(しかも都内、千駄ヶ谷で)と考えると当校の全科お世話に
なってもよさそうな気がするのですが、みなさん一度OEM ,ODM
商社を就職先として
考えてみませんか?外から見てその業務内容があまりピンとこないのは重々承知している
のですが、今後なるべくわかりやすい形でみなさんに紹介していけたらと思います。

 

SDGsにまい進しながら次のヒット商品の企画に携わる、なんか結構いいじゃないですか。

いずれにしろ楽しくなければサスティナブルは続けていけないと思います。

 

次回はまた別の展示会のレポートを予定しています。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程

11/17に開催予定です。

 

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~就活室便り~2024 #10 MARICOさんと

~就活室便り~2024#10 MARIKOさんと

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。天高く馬肥ゆる秋、ですね。
だからどうだということではないのですが、先日初めて馬肉専門店に行ってき
ました。馬刺し、ステーキ、等々かなりの量を食べたつもりなのですが、次の
日に全く胃もたれせず、さすがにヘルシーで有名な馬肉料理、これで値段が
もっと安かったらなあと思いますがやはりそんな虫のいい話はないですね。

 

10月23~26日、渋谷ヒカリエにて「PLUG IN」という展示会が開催されま
した。主催は繊研新聞で、自らの取材で発見したブランド、新進ブランド、
新事業、等まだそれほどの知名度ではなくても、今後旬になるブランド、
話題になるエリアをピックアップした中規模の展示会です。その中でいくつ
かの出展者のお話をお伺いしてきました。それを少し紹介したいと思います。

 

一番目は「MARIKO」さん。今回、CFD TOKYO(東京ファッションデザ
イナー協議会)が初の団体出展をされ、その7社9ブランドのうちの1ブラン
ドとして出展されていました。

 

生地は一部インポートのものまで使、シンプルに見えながら凝った素材を
使用し、デザインは一見シンプルに見えて、細部までディテールに非常にこ
だわられていることが特徴です。この写真だけではなかなかわかりにくいと
思いますが、衿一つとってみてもシンプルに見えながらよく見ると非常に
凝っている、というようなデザインの工夫が随所に施されています。

なんか、クワイエット・ラグジュアリー、ジェントル・ラグジュアリー、
って感じしませんか。普通の服に見えて見る人が見たらうわっ、すごい、
って思える服って良いですよね。

 

最初はどこかのアパレルの新ブランドかと思っていたのですが、この
ブランドは、デザイナーの小畑麻梨子さんが企業からは独立し、現在
一人でやっていらっしゃいます。このように細部の様々なところまでに
こだわりがあると、結局デザイン画だけでは伝わらず、ご自分で半身を
組まれてからパタンナー、縫製工場にお渡ししているそうです。デザ
イン、半身、生地選びと手配、工場と打ち合わせ、マップ、カタログ、
インスタ、等の作成、受発注管理、営業、資金繰りまですべてお一人
でやられているわけですから当然大変ですよね。それでも皆さんの共通
の夢、「いつかは自分のブランドを立ち上げる」、というのはそういう
ことです。そんな大変さは察するに余りある感じなのですが、小畑さん
ご自身はそんな大変な忙しさで疲れているどころか展示会での発表機会
が得られて嬉々として接客されていました。好きなことをしたい結果
多忙になっただけで好きなことができれば多忙は苦にはならないのです。

 

皆さんの中で「将来、自分のブランドを立ち上げたい」という方がとても
多いです。たとえ小畑さんのように一人でブランドを立ち上げたとしても
結局何から何まで一人で出来る訳ではありません。生地が織れるはずも
なく買わねばならず、縫製も1着2着ならまだしも数量がまとまれば工場
さんに依頼しなくてはなりません。そういった取引先とのつながり、特に
人と人とのつながりは社会人としての一番の財産になります。たまに仕入れ
先にいばりちらす、横柄な態度をとる、等々の態度をとる人がいます。その
方が独立し、会社の後ろ盾がなくなった場合、いったい誰が助けてくれる
でしょうか。小畑さんは「縫製工場は、何があっても助けてあげる、と言って
くれている工場さんがあるので、」とおっしゃっていましたが、これが前職で
人と人とのつながりを大切にしたからこその財産になっている証拠だと思い
ます。社会に出てみると、自分一人の力でできることは本当に少ないことが
よくわかります。みなさんも社会に出たら独立できるくらいまで自分のスキル
を貪欲に磨き、同じくらい人間関係の貯金を貯めに貯めて下さい。そうすれば
いつかかならずチャンスはめぐってきます。

 

写真を見てこれくらいのパターンだったらおまかせ、という凄腕パタンナー
さんがいらっしゃったら募集はされているみたいですよ。凄腕さんはどうぞ
チャレンジしてみてください。

 

私のつたない写真では物足りない方、以下にインスタグラムのURL張ってお
きます。1度見てみて下さい。

 

https://www.instagram.com/marikomaison/

 

一番目は、と言っておきながら一番目が長すぎ誌面が尽きてしまいました。
あとは次回にもう一度PLUG IN情報を載せたいと思います。みなさん。
スキルとネットワークはいくら貯めても貯めすぎるということはありませんよ。
本来はデザインとか服のことを多く紹介させていただかなければいけないのに
みなさんへの将来のアドバイスばかり思い浮かべてしまった今回でした。

次回はまたSDGsで。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程

11/17に開催予定です。

 

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