就活室便り | ファッション専門学校の東京服飾専門学校

就活室便り

~就活室便り~#20 川をさかのぼる

〜就活室便り〜#20 川をさかのぼる

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。お正月も成人式もやっと過ぎ、そろそろ
落ち着いて日常に戻る頃でしょうか。年末からずっと続くイベントは楽しいものばかりです
が、やはり少し疲れますよね。私が以前OEM,ODMの仕事をしていた時は春節(旧正月)前
に諸々の仕事を終えねばならず(基本的にこの日から中国の工場は約一か月お休みになります)、
毎年結構緊張した時間を送っていました。今はそんな仕事をしていないので世間同様浮かれて
過ごせば良いので楽といえば楽なのですが今年は私事ですが来週3日間入院が決まっています。
やることは大したことないので(、といっても手術は手術なのですが)、あまり心配なことは
ないのですが、その3日間分の準備、等でやはり少し焦ります。入院中に静かに休みたいと
思います。

 

ファッション産業はその範囲が非常に広く、その立ち位置で企業の在り方も全く違ってしま
います。この広いファッション産業の領域はよく川の流れに例えられます。

みなさんが実際に目にする店頭や百貨店、ECサイト、等小売り、販売等の一番お客様に近い
ところは「川下」と呼ばれます。みなさんがファッション産業として一番意識しているところ
ですね。

その川下産業に商品を提供している企業があります。商品を企画、デザインし、材料を発注、
縫製工場で商品を生産、仕上げをした後各店頭に納品します。これらの企業は「アパレル」と
呼ばれ全ファッション産業の代名詞ともなっています。縫製工場等、関連産業を含めてこの
部分を「川中」と呼びます。

その川中に資材を提供している企業があります。糸、生地を生産し、染色整理後アパレルに
資材を納品します。原糸生産企業は巨大な装置産業であるのが普通で、織元やニッターは
大工場から家内制手工業レベルまで様々、染色整理も企業規模は様々です。素材別に産地も
分かれていることが多く、北陸では合繊中心、メーカーとしては東レ、帝人等の巨大企業が
中心となります。

綿、再生繊維等は浜松中心に日東紡、日清紡が有名ですね。毛織物は愛知県一宮付近(俗に
尾州産地と呼ばれています)の中小の会社が多く、それでも日本毛織(ニッケ)や深喜毛織
(カシミヤが有名です)といった有名企業もあります。

これらの繊維業界が俗に「川上」と呼ばれる領域です。ここはファッションというよりは
むしろ純粋に工業と言った方がむしろ正解かもしれませんが様々な糸のコンビネーション、
後加工の数々、あくなき風合いの追求、等やはりただの工業生産よりは「匠」という言葉が
一番しっくりくるような産業で、求めるのはあくまで「ハイ・タッチ」で「ハイテク」では
ありません。というわけでそのあくなき着心地、触り心地の追求はやはりファッション産業
の一環だからです。

そんな川上産業とアパレル各社を結ぶ企業群が存在します。川上各社の試織した生地の善し
悪しを判断し、良いものは本生産を依頼、そしてその素材の色、柄を決めるのもそれらの
企業群の仕事で、多くの生地は各色、各柄を自社で在庫として持ち、アパレルの急な発注
にも対応できるようにし、製品納期の縮小に貢献しています。それらの企業群は「テキスタ
イル・コンバーター」と呼ばれています。

今回デザイナー、パタンナーコースの学生を連れてお邪魔したのがテキスタイルコンバーター
の最大手の内の一社、株式会社サンウェル様です。訪問、見学の第一の目的は、製品サンプル
を作らずにその生地で作った製品のイメージが3Dで表現できる「3Dモデリング」という技術
の講習にあるのですが、今回それより注力したかったのは、テキスタイルコンバーターでの
実際の生地選びそのものです。

学生達も日暮里繊維街や各生地小売店へ訪問し、自分で生地を購入しています。ただ 生地
サンプルや生地のパターン帳から生地を選んだことはありませんし、ましてやその種類と
言ったら格段の差があります。現在サンウェル様で販売している生地(来期以降の企画の新商品
は含まれていません)が訳1000品番、そのうち定番と呼べる常時在庫を備蓄している商品が
400品番程になるということです。1品番で無地なら10~30色カラー展開があるとすると、その
莫大な量が想像つくでしょうか。実際にアパレルで企画担当のMD,デザイナーといった職業の
方はその中から生地を選択し、各アイテム毎にはめ込んでいきます。その判断の手助けになる
のが3D モデリング、等の新技術であり、あくまでも生地選びは見て、触って、振って、を繰り
返し、風合いを、落ちを、デザインとのマッチングを確かめる匠の作業の一つなのです。次世代
技術は講演会でも理解できるところがありますが、生地選びという匠の技は、口伝、というか
触伝とでも申しましょうか、いずれにしろ上司から部下へ、先輩から後輩へ、ひとつひとつ
風合いを確かめながらその判断基準を引き継いでいくほかないのです。そのテキスタイルコン
バーターでの生地選びを今回学生たちに体験してもらいました。

 

初めてのことに戸惑いながらも頭の中の絵型に合う生地を選んで行きます。

仲間同士でいろいろ意見を言い合いながら一つ一つの素材の触感、風合いを確かめつつピック
アップしていきます。

 

サンウェル様のご厚意により、選んだ生地のサンプル帳をその場で頂くことができました。

昨今ではOEM・ODMを担う商社が製品サンプルの形でアパレルに提案し、アパレルはその中から
自分のブランドに合う商品を選ぶだけ、半分セレクターのような状態になっている、と言ったら
言い過ぎかもしれませんが中らずと雖も遠からずだと思います。生地、製品の輸入率が上がっていく
事は諸所の事情を考慮した場合、ある程度しょうがないことだと思います。だからと言ってその風合い、
触感、着心地が人任せになっていく、それはもうファッション産業とは呼べません。あくまでも着て、
見て、触って、がファッションの基本であるべきです。WEB上のデザインが全てではありません。
学生たちに話を聞くと、将来自分のブランドを立ち上げたい、という話をよく聞きます。そのためには
市場分析、マーケット・インの発想は欠かせないものです。しかしそれがファッションである限り物作り
の基本を忘れてほしくないです。発想がどんどん顧客寄り(川下)に向かうのは当然のことです。実際の
生産、ということを考えたら少しだけでも川下から川中へ、川中から川上へ、と川をさかのぼってみて
ください。マーケットに裏切られることは少なからずあります。しかし身に着けた触感、その他の五感は
けっして裏切ることはありません。一歩でも二歩でも、ほんの少し川をさかのぼっただけでも全く違う
風景が見えてくると思います。今回の訪問で少しだけでも学生たちが川をさかのぼった実感を感じて
もらえたら、今回の訪問は大成功だと思います。こんな思いを理解していただき、多大なご支援をいた
だいたサンウェル様の中田部長には感謝の言葉もございません。

本当に、少しでも少しずつでもこの長い川の様々な地域を学生たちに紹介していけたらな、と思う気持ち
は止むことがありません。今後も色々な産業、企業を紹介していけたらな、と思います。次回の企業紹介
も楽しみにしていただけたらと思います。

ではまた。

 

HANAZONO

 

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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程

1/19に開催予定です。

 

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~就活室便り~#19 和歌山から世界へ 島精機製作所様訪問記

~就活室便り~#19 和歌山から世界へ 島精機製作所様訪問記

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。年も改まり、今回が2025年最初の
就活室便りになります。ファッション業界のあれこれを、少しでもわかりやすくお伝え
できたらと、本年も頑張っていこうと思います。写真が見にくいというかはっきり言って
下手だとか、調子に乗って文章長すぎ、とかいろんな弱点は承知してはいるのですが、
まあ本人なりにいろいろ改善は心がけていて、なるべく表現も簡潔に、写真も文章も
丁寧に、を意識しつつどこまで改善できるかわかりませんが、それでも性懲りもなく
レポートは続けていきますので、よろしくお願いします。

 

以前にも報告させて頂いた島精機製作所様のApex Fizですが、今回は学生とともに実際に
お邪魔して、講習と実演をしていただきました。

まずホールガーメント(無縫製ニット)の説明からしていただきました。現在この編機を
生産しているのは世界で島精機製作所様だけです。今回の説明では編機生産は全て本社
和歌山の工場で行っているそうです。特にそのことには言及されませんでしたが、世界中の
産業が、工賃が安い、コストの問題で海外生産に依存し、その結果、生産技術が大量に
生産国に流出したことがありました。いずれにしろ相手に設計図を渡す、ということは
そういうことだど思います。以前、婦人コートを生産していた時に、来シーズンのサンプルを
海外工場に依頼し、その1か月後その国で開催された総合展示会を訪問したところ、少なく
とも10社からその形が自社の新商品としてブースに飾られていました。特に独自の技術の
商品を生産する場合、海外生産にはやはり技術漏洩のリスクがあると思います。もっとも
それは国によってかなりの差はあることは確かですが、いずれにしろ世界一の生産大国を
さらに自国の技術を流出させて繁栄させることもないですよね。

 

ホールガーメントは例えばユニクロさんでは3Dニットの名で呼んでいたり、各社いろいろ
名前は付けていますが、その編機自体はすべて島精機製作所様作成のものです。小ロッド
生産にも対応でき、裁断、縫製がないため繊維くず、裁断くずが出ず、縫い目がないため
縫い代擦れが起こらず、ウェアだけでなく下着でもそしてベビーウェアでも重宝されて
います。

そしてスタートのスイッチを押す以外人間のすることはあまりないので最低限の人員で
工場を回すことが可能です。

 

無人化、省力化が進んでも従来の糸、生地の試染、試織、1stサンプル、各色サンプルの作成、
サンプル修正はなくなったわけではなく、それがコストやリードタイムの圧迫につながり
ます。それを解決していくのがApex Fizというシステムになります。

 

これは前回紹介させていただいたとおり、色、柄等を素材、デザインに合わせて表現していく
システムです。このシステムを使用してプリントアウトしたものはまさしく生地と紙との見分け
がつきません。下が、学生たちがその真贋探しをしているところです。

各色のスワッチのうち一つだけがリアルの生地なんですけどみんな必死に本物探ししていました。
ソフトとしてはillustratorに近いものだと思うのですが、画面を修正し新しい柄に置き換える、
という作業が衣服に特化しているだけに格段にやさしく行えます。

モデルが着ている服だけ切り取り、そこから袖だけまた切り取り各パーツごとに字の目を設定、
元の写真からドレープ、しわなどの部分の陰影をスポイト(、というように呼ばれていたので
そのようなツールの名前なんだと思います)で吸い取り反映させると、元のドレープ、結び目、しわ、
等すべて再現できます。それがまた短時間でマウスの操作だけで行えるため、illustratorのように
熟練する必要はないようです。さらにCADとの連携、グレーディング、柄ピッチの変更、別の編地柄の
挿入、等が行えるので、バーチャルサンプルを作ることが可能です。ウェア本体カラーもパントーンの
色はプリセットされているのでそこから選択可能、写真を読み込んだ場合はそれからから一番近い
パントーンのカラーを自動的に表示することが可能、付属に関してもYKKのカラーがプリセットされて
いるため表地に合うものを画面で選び、そのまま付属として発注することができ、サンプル作成の
省力化、リードタイムの削減、無駄を極限まで省くことができます。

 

このソフト自体は学校でも月額料金で使用できるためいつかは学校での必修科目となる日が来るかも
しれません。そして、アパレルメーカーでは操作が必須になっているところも出てきているようです。
ロスの排除の意味も大きいですが、なによりリードタイムの減少が一番大きいかな、と思いました。

 

以前はニットの新製品を作ろうとしたら、デザイン・パターン作成→糸の決定→糸ビーカーの作成
(本番の染に入る前に、本番は釜で染めますが、見本としてまず少量ビーカーで染めます)→色確認
→糸染め→ファーストサンプル→各色サンプル、という順番で作業を進行します。各工程ごとに訳1か月の
納期、そこで修正が入るとさらに1か月遅れます。企画が始まってから最低でも半年、下手すると1年、
そこから本生産を開始すると、企画段階から早くて1年、というのが従来の納期です。それがデザインさえ
決定していれば1か月程度でその全工程を終え、本生産に入れることになります。気候、流行ともに変わり
やすい現在の状況の中で、このリードタイムの縮小はかなり大きな意味を持ちます。

 

ものづくりの面からみて画期的なこのシステムは販売の面でも画期的な効果をもたらします。既にこの
システムを導入している会社を数社紹介して頂きました。大手シャツ、ネクタイ製造販売の企業様の
導入例を紹介していただきましたが、webカタログにネクタイが100柄近くあります。その写真はすべて
合成だそうです。当然シャツもすべて合成。製品の陰影まで再現できるため全く合成とは気が付きません。
大手アパレルの製品もサンプル作成は1型1色だけ、あとは全て合成だそうです。ネクタイ100本いちいち
結び目を作って撮影していたら一体何時間かかるでしょう。それがすべて1クリックでできてしまいます。
近年ECで最も手間のかかる作業が俗に言う「ささげ」(採寸、撮影、原稿―紹介文作成)と呼ばれる作業で、
この作業にとられる手間の膨大さに各社頭を悩ませていました。その手間が、少なくとも三分の一になる
のです。これはメリット、というよりは革新に近いと思います。

 

そんな講義を受けた後、そうして作られたホールガーメントの製品を見学させていただきました。

ホールガーメントは無縫製、縫い目がないため、ニットのシルエットがより柔らかく表現できます。元々
製品が立体でできているのと相まってドレープ性はかなり豊かですね。

写真ではわかりにくいかもしれませんが(今年はもう少しうまく写真が撮れるようにしたいです)、中央
テーブルの上のGジャンは実は刺繍ではなくプリントです。顔料プリントで少し立体感があるため本物と
さらに区別がつきにくいです。解説されてみれば確かにデニムの縫い目は厚くてそこに刺繍は無理なんです
よね。騙された、というより本当によくできています。

 

というように今回は1年生を連れて訪問させて頂きました。かれらにとっては今回が初めての企業訪問、
見学で、思った以上に緊張してたり興奮したりしたようです。今回の技術に興味を持っていいただきたい
のはもちろんですが、こうしてファッション産業の裏側には様々な企業、様々な人たちが独自の技術を競い、
支えているからこそ華々しい表舞台がある、ということを少しでも学んでいただけたらな、と思います。
そして裏側の領域は想像以上に奥行きがあり、そんな世界に1人でも関心を持ち進んでくれたらな、と思い
ます。ファッションの表舞台、ブランドは圧倒的に海外のものが多く、ライセンスを含めると日本独自の
ブランドは海外ブランドに対し、優位に立っているとは決して言えません。しかし、素材や特に技術部門に
関しては現在むしろ海外で引っ張りだこです。ユニクロさんの匠制度もそうですが縫製技術指導だけでも
どれくらいの日本人が海外で働いていることでしょう。今後もこんな技術を世界に誇っていけたらと思います。

 

去年の年末に1年生とお邪魔した島精機製作所様のレポートをお届けしました。このレポートが公開されて
いる時間には、実は2年生を連れてお邪魔しているところです。また新しい発見があればレポートさせて
頂きます。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

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~就活室便り~#17 空飛ぶじゅうたん・空飛ぶニット

~就活室便り~#17 空飛ぶじゅうたん・空飛ぶニット

 

 

こんにちは。就活室のHANAZONOです。寒くなり始めたら急速に寒くなり、冬支度は
急になりました。綿のトレーナーからウールのセーターへと主役は変わり、コート、
中綿の季節になりましたね。寒がりとはいいながら、寒いときに寒い、ということは
いろいろな面でとても良いことで、冬ならではのコーディネートを楽しみましょう。

ファッションビジネス的に言うと、実はアパレルが一番儲かるのは春と秋で、昨今その
季節が一番短くなった気がしてなりません。なんか冬と夏だけ、って感じですよね。当然、
アパレル各社もそれに対応して企画変更を余儀なくされます。ちょっと前まで半袖のTシャツ
なんて、冬には買えなかったんですけどね。逆に年間定番のような商品にワンチャンある
かもしれませんね。

ちなみに私は現在鎖骨骨折からの回復中で、完全回復するまでボタンのシャツやタイトな
ジャケットが着れず、Tシャツからの重ね着に冬では初挑戦中です。バックパックも背負えず、
お医者さんに、「とにかく、骨は折らないのが一番ですよ!」と言われた言葉が身に沁みます。
今後より寒くなると路面凍結とか、積雪とか滑りやすい状況が予想されます。みなさんも気を
つけてくださいね。

 

今回、産学連携実習という授業の一環で、両国の丸和繊維工業様に学生と共に工場見学に
お伺いしました。両国で66年の歴史を持つカットソー工場です。現在、都内に本社があっても
縫製をしている企業はごく稀で、東京本社は営業のみ、縫製作業は地方の工場で、という会社が
ほとんどですが、こちらではミシン40台、縫製スタッフ10名で実際に工場として運営されて
います。もちろんさらに大規模な工場が青森と福島にあるのですが、地方も人集めが大変に
なってきたことと、特にカットソーはデザイナーが直接工場とやり取りすることが多いため、
むしろ東京を拡大していく、とのことで、そのためのミシン40台という投資なんだろうと
思います。

 

この会社だけの特別な技術がありそれは「動体裁断」という技術です。この技術を考案した
機能系被服デザイナー、中澤愈教授の技術的指導を全面的に受け、試行錯誤を繰り返した末の
技術だそうです。

 

中澤愈さんはデザイナーでありながら、人体に最もフィットするパターンは皮膚である、
ということに注目し、どんな動きに対しても皮膚には窮屈感がないのは、皮膚のしわが絶妙な
伸び縮みをするからだ、という仮説を証明するため大学医学部に入学しなおし、その後実際に
解剖に明け暮れ、皮膚の研究をしたそうです。そうして、筋肉、血管の動きに対して皮膚が
どのような動きをするかを徹底的に研究されたそうです。著書には解剖して採取した皮膚の
図が多数載っているのですが、まさしくこれはパターンに対する執念としか言いようが
ありません。

写真をみていただいて(相変わらず見にくくてすいません)、講師の丸和繊維の深澤さんが
持っているシャツの脇に濃い紺のパーツがあるのがお判りでしょうか。これは脇裾から
手首までつながっているパーツで、このパーツを挿入すると皮膚と同様、つれることがなく
両手を上げることができます。ボトムにシャツの裾を入れ、両手を上げるとシャツの裾が
引っ張られてボトムから出てしまいます。動体裁断の理論に基づきこのパーツを入れた
シャツは裾が引張られることがなく、シャツがボトムから出てしまうことがありません。

普通こういう楽な動きを目指すと素材のストレッチ性に頼りがちですが、中澤教授によると
ストレッチ素材といえどもそれは皮膚と違い、ある程度の張力がかかるものなので実は疲労が
蓄積するのだそうです。普段はそこまで気づかないかもしれませんが、例えばオリンピックの
アスリートレベルだとものすごい差になるらしいです。

 

この動体裁断の技術を用い、最初に成功したのは実は宇宙においてでした。一度動いた物質は
いつまでも動き続ける、という宇宙空間において、手の動きにつれ裾が上がってしまうシャツは、
その裾の動きが止まらず上がり続け、いつの間にか勝手に脱げてしまうそうです。動体裁断で
作り上げたシャツは、そんな慣性の法則にとらわれず、裾が上がることなく、宇宙空間で
宇宙飛行士の作業に貢献しました。その時の飛行士が山崎直子さんです。テレビで彼女の
エンデバーの中での様子を見ていた方は多いと思いますが、確かに彼女のポロシャツが脱げる、
なんてことはなかったですね。

 

こんな動体裁断の技術を利用したシャツは、手を上下することの多い様々な職業の方に愛用
されているようです。指揮者、レーサー、バーテンダー、等々様々な職業の方の助けとなって
います。

また、着心地にこだわるデザイナー、ヨウジヤマモトさんとのコラボレーションでは丸和繊維
さんのオリジナルブランド(INDUSTYLE TOKYO)とヨウジヤマモトのダブルネームで商品を
開発、販売もしています。

 

空を飛ぶ話をもう一つ。日本で一番多い鈴木姓の方と車いす使用の方とはほぼ同数らしいのです。
鈴木姓の方ほどには車いすの方にお会いしませんが、それは車いすの方がそれほど外出がしにくい
ことと、外出にふさわしいおしゃれな服が見つからないことに要因があるようです。

丸和繊維さんはその動体裁断の技術を利用して車いすの方専用の「Flying Jeans」を開発しました。
写真ではわかりにくいかもしれませんが(次からもう少しうまく撮ります、すいません)、もうすでに、
座った形に曲がって作られているのがおわかりでしょうか。

車いす使用者の着心地、利便を徹底的に考え、シルエット、ポケットの位置、等を再構築し、
外出の機会が増えるよう、おしゃれで履きやすいジーンズを作り上げたのです。

山形のバリアフリープロジェクト“Gratitude”の代表、加藤さんは筋ジストロフィーの発症により、
32歳で自立歩行が困難になり、フル車いす生活を送られていますが、そんな状況に負けずに
バリアフリー活動をすすめ、その一環として車いすパラグライダーに挑戦、見事成功されました。
もちろんFlying Jeansは加藤さんと一緒に空を飛び、履き心地の良いかっこいいジーンズがその
活動の後押しになったことはご本人が語られている通り事実であります。スペースシャトルから
宇宙ステーションまで、宇宙を旅行し、車いすと共に空を飛ぶ、この両国の工場の技術を丸和繊維の
深澤さんは「リアル下町ロケット」とおっしゃっていましたが、空飛ぶじゅうたんというか
空飛ぶニットと呼びたいところですね。

 

以前にも申し上げた通り日本の衣料品の輸入浸透率は98.5%,日本での生産は1.5%しかありません。
しかしそこには世界に誇るべき技術が数多くあります。そんな技術を少しでも次代につなげていけ
たら、そんな思いは日に日に強くなります。確かに繊維縫製品で画期的な技術、革新的な技術はもう
生まれないかもしれません。でも夢を叶える、勇気を与えてくれる、気分を高揚させてくれる製品で
繊維衣料品以上の力を持つものって、そんなに多くないと思います。ましてや四季の移り変わりにつれ
一年で最低4回も新商品を発表する業界は他にはないのです。この魅力を今後も次世代にどんどん
アピールし続けていきたいと思います。

 

だいぶ予定をオーバーした気がしますが、そんな技術の一端を当学の学生にも親切丁寧に教えて
いただいている写真もご覧ください。

幾多の特殊ミシンに興奮しきりの学生たちでした。たとえ少しでもこういった日本の技術を引き継い
で言ってくれたらな、と思いつつ今後もできるだけこんな場を次世代に用意できたらな、と思います。

 

なんか今年一年早かったですね。来年もいろいろと紹介できたらと思います。

ではまた。

 

HANAZONO

 

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~就活室便り~#18 海とボタン

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みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。年末もいつの間にか押し迫り、
なんだか次々と迫りくる予定に追いまくられて落ち着けない毎日です。気温も
下がってきて冬本番、って感じですね。遅れていた銀杏も色づき、ライトアップと
併せて町全体が色づいたようになってきました。でも、落葉しきった木とか、枯れた
すすきやセイタカアワダチソウを見るの、結構好きなんですよね。それが私の冬休みの
イメージでもあります。夏休みの躍動的なイメージもいいものですが、なんか冬休みの
落ち着いた雰囲気が好きです。相変わらず寒いのは苦手ですが。

 

当校の名物授業の一つに「産学連携実習」があります。これは様々な企業様に連携、
協力していただき、学生が様々なものづくりをしたり、あるいは企業様にプレゼンテーション
を行ったり、と机上の理論に基づかない実践講座です。今回2年デザイナー、パタンナーコース
の学生とボタンメーカーの最大手株式会社アイリス様との連携で、リサイクル、アップサイクル
ボタンを使用し、自分の服をリメークしよう、というコンセプトのもとに作品を制作しました。

 

お話をお伺いすると、ボタンの製造後の検品でA品率は約91%とのこと。100個作れば9個、
1万個作れば900個のB品が出て、それらは市場に出回ることがありません。もったいない
といってもじゃあ傷のあるボタンのついた商品をあえて店頭で購入するか、と言われればむしろ
逆に傷物ははねますよね。いろいろ言われてもそれは野菜でも果物でも一緒です。

 

今回アイリス様の全国の工場からB品を集めて頂きそれを中心として一部「環境配慮」生産の
ボタンを提供していただきました。B品に関しては私も学生と一緒に確認しましたが、あからさまに
傷、とわかるものはほとんどなく、むしろ間違い探しのレベルの問題でした。これをきちんとB品
として扱い出荷後のクレームを防ぐアイリス様の品質へのこだわりと、検品員の方のレベルの高さ
には脱帽するほかありません。

 

このようなボタンの提供を受け、学生たちは各々のテーマに基づき作品制作に入りました。自分の
服を大胆にカットして組み合わせたり、幼少期の思い出の宝物にボタンを追加してリメークしたり、
アイテムもバッグ、マフラーからシャツ、アウターに至るまで様々なものに挑戦しました。

 

11月22日は「ボタンの日」です。これは1870年のこの日に、海軍制服にネイビールックが採用され
金地桜花のボタンをつけることが決められたことに由来します。これにちなんで今年2024年11月22日は
「ボタンリメークプレゼンの日」になりました。アイリス様から加藤様をお招きし、各自自らの作品の
アピールポイントをアピールしました。その後作品を一旦お貸出しし、日本の各拠点のみならず、海外の
拠点からもご投票いただき5つの受賞先品を選んでいただきました。その受賞作が以下の写真です。この
プロジェクトの内容の記事と受賞風景の写真は12月13日の繊研新聞にも掲載されました。

大物からファッショングッズまで、アイテムも様々、リユース、アップサイクルと、テーマの幅は広い
ものの、皆それぞれの想いを作品に乗せ表現できたと思います。

このプロジェクトに参加した全員の写真が以下のものになります。

最優秀の金賞受賞作品はNARITAさんの海のニットです。

海の近くで生まれたNARITAさんは、土台のニットで海のイメージを、ボタンは海に関連して「ナット」
「漁網」「貝」「ココナッツ」から選び、サスティナブルと郷愁を表現しています。なんだか見ているだけ
で潮の香に包まれそうですね。

 

こんな形で毎回様々な企業様と様々なテーマで「産学連携実習」という授業を行っていますが、新聞発表に
なったのは実は珍しいことです。金賞受賞のNさんの作品や入賞作品だけでなく、その他のメンバーの作品
も負けず劣らず素晴らしいものでした。ただアップサイクルと郷愁と潮の香というテーマが揃ったところが
NARITAさんの受賞の要因だと思います。潮騒、ボトルに入ったメッセージ、ちぎれて打ち上げられた漁網、
ココナッツ、集めた貝殻。すべてボタンに生まれ変わってニットの海で泳ぐ、海とボタンとの相性は意外と
良いのかもしれません。

 

今回のプロジェクトは株式会社アイリス商品企画部で3度もご来校された商品企画部加藤様はじめ、三橋課長、
鯨井様をはじめとする商品企画部の皆様、ボタン集め、投票に参加して頂いた全拠点全社員の皆様のご協力が
なければこのような試みが成功することはできませんでした。改めて深くお礼申し上げます。

 

今後も様々な企業様と様々なチャレンジをしていけたらと思います。今回は繊研新聞掲載を受け、特別号の
形で#17より先に公開させていただきます。#17が本年最後の投稿になります。来年もまたいい年になると
いいですね。

ではまた。

 

HANAZONO

 

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~就活室便り~#16 染色いろいろ ジャパン・ベストニット・セレクションⅡ

~就活室便り~#16 染色いろいろ  ジャパン・ベストニット・セレクションⅡ

 

こんにちは。就活室のHANAZONOです。実は私は冬が苦手で、とにかく寒いのがどうにも
いけません。寒くないように厚着をして、と思うのですが、重ね着もコートもなんだか着こ
なしがうまくいきません。寒いのがだめで着こなしもだめ、ということでできれば3月ぐらい
まで冬眠して過ごしたいとも思うのですが、それが許される環境にいたこともありません。
朝起きるのが特につらいですよね。と言いながら猫当番で朝食当番の私は結局家族の中で一番
早く起きねばならず、冬眠は夢のまた夢、春の訪れが待ち遠しいばかりです。

 


前回に引き続き今回もジャパン・ベストニット・セレクションにてお話しさせていただいた
企業の紹介をしたいと思います。まず最初は内田染工場様。ニット製品の染色の会社です。
創業115年という老舗で、住所はなんと白山!ご近所様です。大抵洗工場、縫製工場の場合、
工場は地方にあり、東京は事務所だけ、という会社がほとんどですが内田染工場さんの場合は
全て白山で生産されているとのこと。まさしくMADE IN TOKYOですね。

写真を見ておわかりいただけるかどうかわかりませんが、Tシャツの染色でも抜染剤を使いながら、
最初からブリーチ感覚が楽しめる染色をされています。染める時の生地の折り返し具合の違いなど
でどれも一様の色になることはなく、一着一着ブリーチ、濃淡、グラデーションの出方が違う染色
方法で、それを再現性がない、という欠点に捉えるか、一着一着がオンリーワン、という魅力に
捉えるか、捉え方は人それぞれと思いますが、現在では魅力に感じる方の方が圧倒的に多いのでは
ないでしょうか。その他特殊染からウール系のセーターまで様々な製品を染色していらっしゃいます。
ご近所ということもあり、ぜひ一度学生と一緒にお伺いしたいと思っています。見学だけでなく、
何らかの共同作業もできたら良いですね。

 

次にご紹介するのは小倉メリヤス製造所様。こちらも創業95年という老舗です。墨田区に本社を構え、
工場は栃木県佐野にあるそうです。

こちらで目を引くのはプリントデニムです。

写真を見ておわかりでしょうか。この色落ち加減は全部おプリントの表現で実際は一切の洗い加工は
していません。裏はこんな感じです。


まさに先染め感満載ですが実はこれもプリント。表裏プリントすることで普通のデニムと見た目では
区別がつきません。洗い工程をなくしたことで、水の使用量を90%カットすることができ、なお、
洗いや脱色をしていない副産物として染色堅牢度が飛躍的にアップしたとのこと。当然ブリーチ柄は
自由に設定できるので、デザイナーの以降に合わせたどんな表現も可能です。以前は、あれだけ流行
したサンドウオッシュが工員の健康問題で一気になくなったことがありましたが、今回は人体だけで
なく環境にも配慮し、なおかつ柄の自由度が高く、洗った後の処理もないため生産性は向上し、素材の
自由度も非常に高くなっています。写真ではわかりにくいのですが、最初の写真の1番手前にあるGパン
の素材はニットで(そう見えませんよね)、あまり激しい洗い加工には耐えられないように思える柔ら
かく薄手の素材です。それがこの見え方に染色できるのですから素材の幅は飛躍的に広がったと言って
良いでしょう。

その技術の応用で様々な防水、撥水加工、ラミネート、片面吸水/片面ドライ乾燥加工といった数多くの
加工をしていらっしゃいます(というよりデニムプリントの方がその技術の応用だと思うのですが)。
UV加工、シルクプロテイン加工などは紫外線対策、肌の保護、といった今求められるものがいっぱい
詰まった技術と言えるのではないでしょうか。

 

佐野工場では染色だけでなく製品の縫製もされており、縫製スタッフも募集中とのこと。栃木が実家の方、
一度ご検討なさってはいかがでしょうか。

現在縫製品は98.5%が輸入品となり、国内生産は1.5%に過ぎません。しかしだからといって技術的には
輸入品に劣っているどころかまさしく世界一と呼ばれる技術が数多くあります。この世界一の技術を、
世界に向けてどんどんアピールしていけたら、と思わない日はありません。

豊臣秀吉が6ヶ月という短期間で築いた肥前名護屋城。これを現代のゼネコンが、現代の技術で、現在の
重機を駆使して建築したとすると、最低でも3年はかかるそうです。そんな現代の技術も重機もかなわない
当時の築城技術も、城造りを辞めた途端、すぐに失われてしまいました。それは日本だけでなく、多分ピラ
ミッドにしても、世界の7不思議って多分そういうように普通の技術だったものがいつの間にか‘不思議‘に
なっていったんだと思います。

縫製にしろ染色にしろ編織にしろ日本にしかない技術はいっぱいあります。これを次代に引き継いでいか
ないと日本にはまた沢山の“不思議“だけが残されることになります。あるアパレルのMDと話していた時、
このまま行くと後数年後には日本でジャケットが縫える工場がなくなるのではないか、という話題になり
ました。

内田染工場でお相手してくださったKさんは、文化服装学院のご出身だそうで、学生時代に一度授業で内田
染工場さんとコラボし、就職は他の企業に就職したものの、その学生時代の体験が忘れられず、結局出戻り
とは言いませんがお世話になることになったそうです。今後みなさんにそんな体験のお手伝いが少しだけで
も出来たら、そして日本の技術を引き継いでいっていただけたらと思います。

現在では新技術というとIT系に限定されてしまいがちですが、繊維服飾系(昔は漢字のつくりから、“いとへん“
業界と呼ばれました)の技術は奥が深いですよ。そんな深みにどっぷり浸かってみたい方、応援しています。

 

染色いろいろ。色柄いろいろ。今回のジャパン・ベストニット・セレクション、染色もそうですが、ニットは
型の自由度も高く、いろいろ見どころ満載でした。今後もこんな情報を少しずつでもおお伝えしていけたらと
思っています。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

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東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程

1/19日に開催予定です。

 

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~就活室便り~#15 Apex Fizで乾杯 ジャパン・ベストニット・セレクション

~就活室便り~#15 Apex  Fizで乾杯 ジャパン・ベストニット・セレクション

 

こんにちは。就活室のHANAZONOです。先日やっとクリスマスツリーを出し、リースを玄関ドアに
飾って我が家でもだんだんクリスマスモードに入ってきました。年末に向けてなんだか急に寒くも
なってきたようで、冬支度、クリスマス、新年の準備とあわただしい季節になってきました。12月は、
8日が初めて我が家に猫がやってきた記念日(捨て猫ですが自分で捕まえて保護しました)、25日と
28日は子供の誕生日、とクリスマスとあわせてパーティーが延々と続く月です。25日が誕生日と
クリスマスとかぶっているのですがパーティーは絶対に別々が良い、との本人の希望でパーティーの
回数は増えることはあっても減ることはありません。25日前後にケーキを買いにいくと、ろうそくを
追加で依頼している方が思ったより多いような気がします。パーティーは1回で済まされているのか
どうか、よそのうちの事情もなんとなく気にかかるところです。

 

12月3日、4日の2日間、ジャパン・ベストニット・セレクションが浜松町の都立貿易産業センターで
開催されました。ちょっとすごい混雑でびっくりしましたけれど、その中でお話を伺ったいくつかの
企業をご紹介したいと思います。

 

まず最初は島精機様。島精機といえばホールガーメント(完全無縫製横編み機)を独自に開発し、
従来のニット製品にあった裁断、リンキング、縫い目、等をすべてなくし、ニットの持つ伸縮性を
最大限に活かしながら立体的で着やすく、しかも裁断がないので裁断くずも出ないという、着易さと
SDGsを両立した、革命的な編み機です。紙に印刷された世界地図から地球儀を作ることは至難の業
ですが、この機会を使えば最初から立体の地球儀が出てくる、そんなイメージです。着ていて邪魔に
なる縫い目がないため着ていて着やすく、従来の縫製部分が伸縮しないカットソーの弱点を克服し、
縫い代がないためシルエットもすっきりするという、ニットの弱点をほぼ解消した製法といえると
思います。最近ではいろんなところでシームレスニットの文字を目にしますが、あの超大手の製品も、
みな島精機の編み機を使った製品です。

というようなことは業界ではかなり有名なことで、というか常識になっているのですが、その島精機
さんが開発したApex Fiz Designというソフトです。

 

 下の写真を見て頂きたいのですが、同じ2枚のウールのチェックの生地スワッチがあります。この
左右の違いがわかりますでしょうか。

答えは向かって右は本物の生地、左は印刷です。

このApex Fiz Designというソフトは、illustrator、等のほかのソフトと違い、実際の糸をスキャンする
ことでテキスタイル・デザイン・シュミレーションに革新的なリアリティーを持ち込むことが可能に
なりました。従来でしたら柄のピッチ、配色の変更、等の確認の場合には試織しなければならず、
それには多大なリードタイムとコストがかかりました。それが不要になったばかりかCADと連動する
ことにより製品イメージの確認もできるようになったのです。製品サンプルを1着作れば各色サンプルは
その写真を加工するだけで各色サンプルも不要ならネット通販、カタログの写真撮影も不要になった
のです。

お話をお伺いしたらシャツ専業アパレルのK社のシャツ、ネクタイのWEBカタログはこのシステムを
使用した合成写真だそうです。超人気アパレルA社もサンプル作成は一色だけでほかの色はやはり合成
だそうです。その画像も見せていただきましたが、画面で見るとなおさらどれが実写でどれが合成かは
わかりづらいです。このシステムが製品企画時にもたらすメリットはものすごいものがありますが、
WEBカタログ作成時の時短、コストの削減にもたらす効果はそれ以上かもしれません。なんかひょっと
したらアパレルメーカー就職時にこのソフトを使用できるかどうかが必須項目になるかも知れません。

 

何事も百聞は一見に如かず、ということで、学生と一緒に企業訪問させていただくお願いをしてきま
した。このシステムに興味を持ち、覚えようという意欲がある学生がいたら応援したいと思いますし、
それ以上にこんなシステムの開発にたずさわりたい、ホールガーメントをより深く学びたい、などの
理由で島精機さんに就職したい、という学生がいたらそれも応援したいと思います。ただし、開発は
本社で、すなわち和歌山ですよ。和歌山に引っ越してでも島精機さんで働きたい、という学生が出たら
それはそれでなんかいいな、と思います。

カツオでもタイでも、みんなおいしそうですよね。

 

と、いう話をしていたらやはり紙面が尽きてしまったようです。今回の展示会参加企業の中で少なく
ともあと2社はご紹介したいので期待していただけたらと思います。

 

今年もあと少し。風邪ひかずに頑張って行きましょう。

 

ではまた。

 

HANAZONO

 

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~就活室便り~#14 3D モデリングとハレルヤ

~就活室便り~#14  3Dモデリングとハレルヤ

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。季節は少しずつ進み、と思っていたら
いつの間にかもう12月、今年も残すところあとわずかとなりました。わたし個人的には
とにかくいろんなことがあった激動の年だったのですが、みなさんはいかがだったで
しょうか。年が改まったからといってすべてが変わるわけではないので(わたしは今年は
見事に変わりましたが)、年末とか年始とかってあまり意識したことはないのですが、
昨日何の予備知識もなく、リリースされたばかりのショーン・メンデスの新譜を聴いて
みると、ラストナンバーでレナード・コーエンの「ハレルヤ」をカバーしていました。
この静かなメロディーと説教臭い歌詞で有名なこの曲(あくまでも私見です)を聞いて
いると、どうしてもクリスマスを意識しますね。なかなかキリスト教の信仰の話は
個人的に理解の及ばないところがありますが、なぜかクリスマスの意味だけは理解して
いる気になっています。みなさん、良いクリスマスになることを願っています。

 

さて、就活室便りですが、今回がジャパンクリエーション編第3弾になります。テキ
スタイルコンバーターはかなりの数の企業が縮小、撤退していきましたが、その中で、
例外的に業績を伸ばした、というか、伸ばし続けている企業、サンウェル様をご紹介します。

現在アパレル製品の98%以上が輸入品になり、国内の生産は厳しい現実に直面しています。
テキスタイルコンバーター各社が在庫の圧縮を迫られ、受注分しか生産できず、それゆえ
納期、価格共、アパレル各社の対応が困難になっていく中、逆に自社企画の商品の在庫を
しっかり持ち、納期を短縮化し、生地オーダー後に不足が出た時のフォローもしっかりする、
といったテキスタイルコンバーターとして当然といえば当然の業務を積み重ねることに
よって業績を伸ばしてきた会社がサンウェル様です。わたし個人の感想としては今元気な
生地屋さんベスト3に入る会社だと思います。そしてその3社共、本社は関西です。やはり、
特に繊維の商売は大阪強いですね。

 

そんなサンウェルさん、2年前から「3Dモデリングサービス」を始めました。これは同社の
生地を3Dデータ化し、パソコンやスマホで生地や製品が見られるというサービスです。

 

現在アパレル企業では3Dモデリング、バーチャル試着の導入が始まっています。2Dの
製品パターンをパソコンで3D製品としてアバターに装着、物理的にサンプルを制作しなく
ても製品検討が可能になり、アパレルのコストカットと資源の無駄遣いの削減につながる
技術として注目されています。製品サンプルはファーストサンプルから仕様の変更があれば
そのサンプルは市場に出ることもなく処分対象としてその後日の目を見ることはありません。
それ以降も仕様に修正があればセカンドサンプルもサードサンプルもその運命は一緒です。

それに対し3Ⅾモデリングは丈、袖の長さ、細部のデザイン、等細かな修正がパソコン上で
修正可能で、修正サンプルを作らなくてもデザインの修正点の確認が可能なため、これを
企画会議にそのまま使用すればサンプル数の削減とリードタイムの減少につながることは
間違いありません。

 

サンウェル様の3Ⅾモデリングサービスはこういった3Dモデリングの仕様にに対応するもの
です。アバターの服にその生地を選べば、色、柄だけでなく、光沢、落ち、揺れ感、等々
様々な生地の情報を伝えてくれます。

アパレルはサンプル作成時にまず一着分の用尺の生地をオーダーします。これを業界用語で
「着分」といいます。その後修正がある度に一着々ずつ着分を追加し、最後に進行する全色の
サンプルを作ります。これは「各色サンプル」と呼ばれるものです。そして着分のオーダーも
その分追加になります。

 

アパレル各社は基本的に必ずシーズンごとの展示会を開き、そこでお客様の意見を聞き、
修正点をまとめ、受注を取ることで発注数量を決め、原材料をオーダーします。そこで修正が
あった場合はその各色サンプルも当然良品として日の目を見ることはありません。これらの
サンプルの無駄がアパレル産業の環境に対する厳しい評価になっている一因でもあります。

3Dモデリングの技術はこれらの無駄を少しでも少なくしていく点に貢献し、その意味で地球に
やさしい技術と言えます。アパレルの無駄の解消に役立つだけでなく、生地屋さんにしても
カットの手間と小口出荷の繰り返しという手のかかる作業の減少、その間の小口輸送の縮小に
よる運送業のエネルギーカットにつながる、等地球にやさしい点は枚挙にいとまがありません。

わたしも実際サンウェル様のブースで拝見し驚いたのですがアバターをかなりの運動量で
動かすことができ、まさに生地の落ち、ドレープ性が実際のサンプルが動いているように
見てとれるのにはびっくりしました。ではその写真を載せればすぐわかるじゃないか、
と言われると思いますが、何せ素人カメラマンのやることなのでお見せできる写真がない
のはご容赦ください。いつかは写真もうまく撮れるようになろうと思います。

 

その代わり授業として何回かサンウェル様に訪問させていただき、一度本校にもお招き
して講義をしていただきたいと考えています。会社訪問に関しては将来のデザイナー、
パタンナーを目指すコースの学生を優先して参加させ、それ以外にも将来のMD候補でも
あるビジネス科のみなさまもお連れできたらな、と思っています。

 

今後さらに発展していくであろう3Dモデリングの技術。それでは将来パタンナー職は
無くなるのでしょうか。答えはNOだと思います。着ごごち、触りごこち、暖かさ、涼しさ、
等服にはどうしても着て見て触ってみなければわからない点があまりにも多いからです。
これがこの業界の魅力であり難しさであり醍醐味だと思います。みなさんも今後服飾の
魅力に肩までどっぷり浸かっていきましょう。とは言っても地球環境を考えても無駄は
無駄で極力省いていくべきです。しかし省きすぎて良いものがなくなってしまう、これでは
SDGsとは呼べない、という話です。みなさんも無駄は極力省きながらクリエイティブな
造形に磨きをかけていきましょう。

 

冒頭の「ハレルヤ」という曲では信仰とそれを守ることが誘惑の多い現生ではいかに
難しいか、ということが歌われています。誘惑に負けて最後に絞り出した言葉が「ハレルヤ」、
というようなちょっと説教くさい曲ですが、私たちもSDGsの信仰だけにかたよると大切な
ものをなくしてしまうかもしれません。要は偏らず、慎重に、広い視野で、楽しさを忘れずに、
というようなことを言いたかったのですが少しはわかっていただけたでしょうか。

 

来週からはまた別の展示会情報をお伝えできればと思っています。

 

ではまた。

 

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