~就活室便り~#24 kashmir
みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。暖かい日が増えてきましたが
なんだか朝晩ちょっと寒いですよね。現在私が家を出る時間はまだ日の出前で
真っ暗だったりするのですが、当然気温もほぼ最低気温の時間で、毎朝出勤意欲
を減退させる効果が十分にある寒さです。日の出の光景はいつも電車の窓から眺め
ることになるのですが、そうして四季の移ろいを身をもって感じるって、結構いい
もんですよ。特に毎日夜明けの時間がどんどん早くなっていくってなんだか理由も
なくどきどきして、春の醍醐味の一つであります。よく暖かくなったから春になった、
と思いがちですが、寒暖を繰り返しながら少しづつ暖かくなっていくその工程こそが
春なんですよね。そう考えるとこの季節、結構長いです。本当に暖かい日々ばかりに
なってしまえばそれは初夏なので。いずれにしろ家を出るときに日が昇っているその
日まで春を存分に楽しもうと思います。
1月15日から17日まで、ベルサール渋谷ガーデンにて、インド・トレンドフェアが開催
されました。今回はそのレポートをお送りしたいと思います。現在、繊維製品輸入先と
してインドは9位のポジションにありますが、金額ベースでみるとその輸入額は全体の
1%に過ぎません。輸入額全体の半分以上は中国からで、それに続くのがベトナムです。
インドからの輸入額は中国からの2%に過ぎず、ちょっと差がありすぎるとしかいいよう
がありません。ところがこれを世界レベルでみると、インドの繊維製品輸出量は中国の
1割強の金額になります。この数字、日本でも繊維製品輸入額で中国の1割を目指す、と
いうのがインド政府の目標となっています。
インドと中国を比較して、中国に分があると思われる点は、日本との距離が圧倒的に近い
こと、航空便、船便をはじめ輸送手段も豊富でしかも輸送日数が短期で済み、日本に対し
ての輸出手続きにも慣れていること、日本語が話せる担当者が多いこと、生地をはじめと
する素材が豊富なだけでなく、裏地、付属品、等が豊富でほぼすべての材料を現地調達で
きること、等が挙げられます。特に付属品を含めた素材の豊富さは、輸入額2位のベトナム
と比べても比較のしようがなく、原材料を全て自国で調達できる国は中国をおいて他には
ありません。私も経験ありますが、この付属、どの部品が足りない、足りなくなった、と
いっていちいち日本から送るって、大変なだけでなくそれだけで利益がなくなってしまう
ような騒ぎなんですよね。いずれにしろ繊維製品輸入先として中国の地位は盤石なものが
あります。現在産地のリスク分散が重要なテーマになってはいますが、それでも中国以外
の産地に移行するほうが幾多の多くのリスクを抱えることになります。
一方、インドの利点ですが、まずEPA協定を日本と結んでいるため関税がかかりません。
同じものを作ったとすれば中国と比べると元々の単価がかなり安いです。そのうえ、関税が
かからないためコスト・メリットがあります。また、イギリスとの古くからの繋がりがあり、
それを通してヨーロッパの下請けとしての歴史が長いため、感性が非常にヨーロッパ寄りです。
中国は元々黄色と朱色の世界だった歴史が長いので、こちらの要望をわかって頂くのに時間が
かかる場合があります。プリント、刺繍、等配色のセンスは見事というほかありません。また
刺繍、ビーズ、スパンコール刺繍等細かい手作業が得意でその細かい作業は目を見張るものが
あります。大体国の生活水準が上がれば上がるほど、そのような細かい作業はしたくなくなる
か、とんでもない値段になるかどっちかです。昔有名だった中国の汕頭刺繍ですが、以前私が
お願いしていた頃の値段の5倍以上の工賃になっています。工賃がそれだけ上がると店頭での
最終製品上代は何十倍かになってしまうので諦めざるをえなかった経験があります。やはり
刺繍をはじめとする加工物はインドにかなうところはありません。
それでは、実際の商品をちょっと御覧に入れます。
まず、ウール関係のスカーフのプリントから。
このコーナーだけで何柄あるでしょう。大体このようなプリントの柄が一社平均100柄くらい
はあるでしょうか。そこから必要なものを選んでいったり、配色変更は可能なのでオリジナル
の商品の作成依頼も可能です。次に刺繍関係をご覧ください。
ジャンパーにほぼ前面刺繍です。これくらいの刺繍がびっくりするくらいの値段で可能です。
ちょっとびっくりしますが、縦のストライプに見えるところはすべてビーズ刺繍です。これく
らい手間のかかる刺繍はインドでしかできません。
これは「ジャパニーズハッピーコート」という名前でヨーロッパ中心に売れているらしいです。
鶴の刺繍も見事で、これは逆に日本で作ったほうが、と思われるかもしれませんが、値段の格差
が隔絶したものがあります。
これもよく見ないとわからないかもしれませんが、プリントのスカーフにビーズ刺繍を施してい
ます。プリントの配色で一番難しい中間色の出し方も見事で、これを日本で作った場合のコストの
三分の一位の上代で店頭販売可能です。
加工技術の高さを知っていただこうと、極端な加工物ばかり写真を撮ってきましたが、当然普通の
無地の商品が一番多いのでどんな市場にも対応可能です。でもこれだけ刺繍ができるとどうしても
柄物をトライしたくなりますね。いずれにしろ柄も値段もインドにしかできないことは沢山あります。
昔からインド綿、インドシルクは有名で、特にインドマドラスチェックと言ったら夏の高級品として
有名でした。そんなインドと中国との輸入金額の格差はどこにあるかといったら地理的な問題であり、
日本語が通じる可能性が皆無だったり納期、クオリティの問題、一度に要求される最低生産量の巨大さ、
付属品手配の問題、リードタイムの長さ、輸送の諸問題、等いろいろな問題があるのは確かです。
そして、一度でもインドと貿易をしたことがある方ならお判りでしょうが、それらはすべて、容易に
解決できる問題ではありません。
それでも人口は14億を超え世界一となり、しかも国民の平均年齢は28歳と非常に若く、生産拠点として
も市場としても非常に魅力的な国であることは間違いありません。これから社会に出ていくみなさまは
いつか必ずインドと係わりを持っていくのは間違いないと思います。特に繊維業界に関わっていこうと
思う方はその確率が特に高いと思ってください。
私は海外に行くと必ず宿泊ホテルの周りを散歩します。自分の目で見て、足で歩いて、肌で感じる外国の
雰囲気が大好きです。そんな私も周りの散歩をしなかった国が2か国あります。一つが南アフリカで一つが
インドです。ちょっとくらいの危険ならあえて挑戦してとにかく自分の足で歩くのが大好きなのですが、
ちょっと危険というのとかなりの高確率、というかほぼ100%ホテルに生きて戻れる自信がない、という
のは全く違います。みなさんもたとえインドに行くことになっても独り歩きはお勧めしません。それくらい
危険な物は危険だしそれが貿易の妨げになっている点は否めないでしょう。だからと言って独り歩きが危な
い、というだけで今後国家としてのインドの価値はますます増して行くでしょう。いずれにしろ繊維輸入品
が全体の98%を超える日本において海外を見ずに繊維産業は語れませんし存在しません。みなさんがこれか
らどんどん海外に目を向けて頂けることを期待します。
ちょっと風変わりな就活室便りになりましたが、商社、OEM,ODM企業に進まれる方は入社後もう待ったなし
です。なんかインドのマイナスイメージを植え付けるような話が多かったかもしれませんが、食べ物は本当に
おいしいですよ。何食べてもおいしいですし、お茶とビールも絶品です。ただ食べすぎには注意しましょう。
今回のタイトル、”kashmir”はカシミヤ、パシュミナで有名なカシミール地方にちなんで、というか、Led Zeppelin
の曲で今一番人気がある曲にちなんでつけたのですが、今回の展示会の出展企業はむしろムンバイから参加された
企業が多かったように思います。ムンバイは「踊るマハラジャ」や「RRR」等で有名なインドのハリウッドですね。
そしてとにかく暑い街です。私が2月に行った時には冬なのに35度ありました。デリーも30度で、日本から2月の
気温に慣れたまま行ってとにかくばてたのを覚えています。水分補給の大切さを思い知らされた訪問でした。
今回はインド・トレンドフェアで考えたこと中心にお話させていただきました。来週からはまた日本の企業の話を
中心にしていきたいと思います。
ではまた。
HANAZONO
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
東京服飾専門学校 次回オープンカレッジの日程
3/20に開催予定です。
詳しくは下記よりご確認ください。
https://www.tfac.ac.jp/open_college/
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授業見学のご予約は下記URLから予約フォームでお受けしています。
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