~就活室便り~#24 P.S.藍LOVE YOU | ファッション専門学校の東京服飾専門学校

~就活室便り~#24 P.S.藍LOVE YOU

~就活室便り~#24 P.S.藍LOVE YOU 〜45rpm様展示会訪問記

 

 

みなさんこんにちは。就活室のHANAZONOです。毎日寒いですね。特に遠距離通勤者
にとって、朝出かける時間がほぼ最低気温なのが辛いですね。毎朝まだ日ののぼる前に
玄関を出るのですが、そこで毎朝わけあって仲良くなった外猫2匹にまちぶせされてい
ます。まず脚に頭突きされるところから始まって、その後まず撫でねばならずその後に
当然ごはんをあげなければなりません。時間に余裕があるわけではないのでできればご飯
だけあげて早く駅まで行きたいのですが、その前の「撫で」が不十分だとごはんを食べ
ません。毎朝毎朝こっちは時間がないんだってば!といっても通じないのでそのロス
タイムも計算に入れるとまた睡眠時間が減るんでした。遠距離通勤、辛いですね。特に
甘えん坊の外猫がいる場合には。逆に朝起きるのが苦手な方は気になる外猫がいると気に
なって早起きできるかも知れないですよ。ちなみに内猫は元からあんまり寝かせてくれま
せん。夜中に耳元で大声で鳴くのだけはやめてほしいなあ、とは思うのですがやめる気配
はさらさらありません。熟睡からはどんどん遠ざかっていきますが元気を出していきまし
ょう。

 

今回は、2月5日から7日に行われました45rpm様の来シーズンの展示会にお邪魔しました
のでそのレポートをお届けします。45rpm様といえばデニムにこだわり、そのこだわりの
デニムは、染め、織り、糸からしまいに畑(綿も藍もです)までこだわられ、それをこだ
わりの工場さんで縫製し、大量生産、大量販売よりは自分たちの作りたいもの、自分たち
にしかできない他にはないものを追求されているメーカーさんです。何枚か写真は撮らせ
ていただいたのですが、そんなoriginal追及のブランドの来期発表の新作商品を並べた展示会
なので、あまり克明な商品の写真を載せるわけにはいかないのでなるべく引きで撮らせて
頂きました。こういう場合には私の撮影のクオリティが活きますね。撮影が上手じゃなく
とも適材適所って、あるんですよね。それではいくつか写真を見ながら紹介していきたいと
思います。

展示会場入り口横にこのようなブースがあります。リアル・ビンテージデニムを目指した、
ということで、まるで本当に炭鉱で働いているうちに擦れてこうなった、というようなデニム
です。ダメージ部分にも茶系の色がかかっており、まさにビンテージですね。1点物の古着を
選ぶ感覚でお客様に選んでいただきたいそうです。大量生産とは違う世界ですね。

 

昨今の温暖化を踏まえて、防寒アウターの需要は年々減少しているようで、それに比して現在
スカーフ、ストール、等巻き物系を増やしているそうです。展示会でも140cm✖140cmのスク
エア大判のスカーフの新柄が陳列されていました。45rpm様で特徴的なのはそのプリントの柄
が社内デザイナーによる手描きのところです。世界中どこにもない全くのオリジナルの柄で、
私もかつてはプリント生地企画をやっていたのでこのサイズで図案を作成する大変さは身に染み
てわかります(といっても私自身が描いていたわけではないのですが)。しかも濃淡、細線を
多用して陰影を出している作品が多くただただ感心するばかりです。さすがに新柄の写真はコピー
される恐れがあるので自粛しました。みなさん、時期が来たら店頭でご覧ください。

写真が小さくてわかりにくいかもしれませんがわざと小さいんです。生地は製品にする場合必ず
裁断せねばならずその裁断くずが出るのは避けられない事実です。45rpm様ではその裁断後の
端切れでマスコット、チャームを作られていて、これは特にネット販売でよく売れるそうです。
金具等、付属もだいぶ凝ったものを使用されています。

こちらは藍職人のコーナーです。染は当然、藍の栽培からこだわった各種藍染めがずらりと
並びます。当然藍といえば染色、対光、摩擦、すべての堅牢度がよくないです。それゆえ縫製工場
のミシンにもやはり色が移り、他の物をそのあとすぐ縫うわけにはいかないとのこと。工場さんも
大変だと思いますが、そんなデメリットがありながら仕事を引き受けてくれる協力関係を工場さん
と築いていらっしゃる信頼関係構築の歴史は一言では語れないものがあると思います。よく上下
関係で下請け工場さんに横柄な態度、無理な注文を押し付けるメーカーがありますが、一時期は
うまくいっても決して長くは続かない、というのが私の感想です。みなさん、人とのお付き合いは
大切にしましょう。

ニット含めまずどの製品も糸から凝っています。織物もスラブ形状が均一でなく、縦糸横糸の色の
違いで表現するデニムの色合いを一本糸のニット製品で表現しようとすると、かなり大変なことを
お察しください。また、藍染めだけでなく、普通のニット製品もニットなんですがガーゼのような
風合いが特徴的で、それはもう日本に数台しか残っていないような古い編み機で、時間をかけながら
ことこつと編んでいく作業のなかで現在の高速編み機より空気を含む量が多く、それがなんとも言え
ない風合いを醸し出すのだそうです。本当に不思議なのですが、織物も手織りに近い織機と現在の
高速織機では同じ糸を使用しても風合いがまったく違います。新旧織機ではまず糸のテンションが
全く違うのでそれが風合いの違いの最大の理由ではあるのですが、確かに織物でも空気を含む量に
違いがあるのかもしれません。繊維はその微妙な違いの追及が大きなテーマなのですが、45rpm様の
ニットは明らかに差異があります。こちらの展示会で他社とは明らかに違う点は、各ショップの販売員
さんが展示会場で来期商品を見るだけでなく、みなさん試着されている点です。今までいろんなアパレル
さんの展示会にお伺いしてきましたが、たいていは説明会だけ、その後販売会議みたいなところがほと
んどなのですが、ここではみなさん見て、触って、着て商品を確かめていらっしゃいました。ニット製品
コーナーでは試着後歓声があがっていました。0普段自社商品を毎日販売している方から歓声があがる
ような新作ニットの着心地、風合いの素晴らしさと、それを身をもって体験し、自分の言葉でお客様にお
勧めできる、この販売と商品企画がきっちりとかみ合っているところが強さの一因になっているんだと
思います。

手書き落書き風の商品です。これも社内での手書きで、海外での学校卒業時の服に書いた寄せ書きから
インスピレーションを受けた作品とのこと。それ以外にも毎年海外で70~80年前の古着を毎年購入され、
特に現在では使われなくなった編み方、織り方、糸使いのものとかは分解して組成、作り方を確認され
るそうです。

上の写真が集大成というか、刺繍、パッチワーク、ステッチ、織り、染め、すべての部分にこだわった
一連です。そんなに数量作る企画ではないのですが、というお話でしたが逆にこれを大量に作れ、と言わ
れたほうが工場さんは困惑すると思います。手作りには手作りの良さがあります。良いものを良いものと
して大切にしていきたいですね。

 

会社の方針としては、「作りたいものをつくる」、ということを大前提として、売り上げを伸ばす、多店舗化
とかそういうことは考えていないそうです。それよりはあくまでもものづくりにこだわり、ものだけでなく、
そのこだわりも一緒にお客様に届ける、それが一番大切にされている、ということだと思います。どんな
こだわりの企画でもそれを形にしていくまでに様々な仕入れ先、様々な工場さんにその企画に賛同し、
わかって頂き、協力して頂く生産部の方々の努力は察するに余りあるものがあります。そして私からすると、
そんな楽しい仕事してみたい、という気になってしまいます。企画を実際の形にしていくお仕事、楽しい
ですよ。

45rpm様の売り場は新宿伊勢丹3Fはじめ周りはハイブランドばかり、その中でデニム中心の商品構成は
ちょっと異彩を放っています。藍染めをはじめ堅牢度には問題を抱え、しかもブリーチ、ウオッシュ、等
一点ものに近いものが多くしかも価格は高価、という商品なので、その商品の魅力、ウエアリング、
コーディネートから取り扱いまで販売の方に求められるレベルもかなり高いものが求められます。企画、
ものづくりの現場での苦労、商品の魅力がすべてお客様に伝えられるよう、やはり販売員の方も見て、着て、
触っての商品理解は必須でそれが展示会での試着の多さに現れているのだと思います。そうして商品企画から
最終の店頭販売に至るまで会社としてすべての情報を共有されている、といっても差し支えありません。
社内全員が企画参画し、ものづくりし、お客様までお届けする、これほどすべての情報が社内で一貫している
会社を私は他に知りません。それは人事の方にいたるまで一緒で、そこまで行くとなお珍しいです。

企画、生産、販売のお仕事を紹介させていただきましたが、それ以外にも縫製の仕事も一部されているそう
です。先ほど紹介させていただいた手編みに近い古い編み機を使い、編地つくりと縫製は、もう現在やる人が
いないため自社でされているそうです。いつかは消えてしまうかも知れないその技術を継承したい方、勤務地は
地方になりますが、チャンスではあります。将来縫製の仕事につきたい方は一度考えて見てはいかがでしょうか。

 

ファッション産業は川上から川下まで本当に長く、その中でのものづくりをしようとすると、逆に自分だけで
できることはほとんどなく、様々な企業、様々な方々の協力が必要となります。様々な方々に自分の想い、
こだわりを語り、理解していただき協力を仰ぎ、一つのものを完成させていくものづくりの道、これをなんとか
みなさんに一度体験して頂きたく毎日いろいろ腐心しています。とにかく一度「見る」、「体験する」とその後が
全然違うので、

そんな機会があればどんどん紹介していきたいと思います。そう思っていたら45rpm

様では新入社員企画による学生限定イベント「風のマーケット」というイベントが3月14、15両日開催されます。
古着、端切れ販売だけではなく藍染め体験、等様々なイベントが行われるようなのでみなさん一度覗くだけでも
ぜひ参加してみてください。そしてものづくりの一端だけでも体感できたらいいな、とおもいます。

 

ファストファッションがこれだけ蔓延した現在、確かに45rpm様の服は高く、なかなか学生のみなさんには気軽に
手を出せるものではないかもしれません。しかし良い服はどうしても高いんですよ、とおっしゃった川久保玲さん、
私にとってのSDGsは絶対に捨てられない素敵な服を作ること、とおっしゃったsacaiの阿部千登勢さんの言葉が理解
できるファッション大好きなみなさんならここの服の魅力をきっとわかっていただけると思います。なお、もし45rpm様
に魅力を感じてより多くの商品を見てみたいと思われた方、店頭で来期エントリー予定の旨をお伝えすれば商品の解説も
していただけるそうです。ただし、お忙しそうな時はご遠慮してくださいね。

 

長々と書きましたがそれでもいろんな話が抜けているのはわかっているのですがとりあえずこの回はここで終わりにして
今度「風のマーケット」の報告もさせていただきたいと思います。最後に今回展示会のご説明、ご対応してくださり
撮影の許可もくださった人事総務部の井上様、伊藤様に感謝の言葉を述べたいと思います。本当にありがとうございました。

 

みなさん、ものづくりって本当に楽しいですよ。次回からもそんな魅力を少しでもお伝え出来たらと思います。

 

ではまた。

 

HANAZONO