これまで数多くの日本人ファッションデザイナーが、業界内外で様々な功績をあげてきました。独自の視点や革新的なデザインで国際的な評価を受けている方々も多く、日本のファッション文化を世界に広めています。
この記事では、レジェンドデザイナーから注目を集めている若手まで、様々な年代の有名な日本人ファッションデザイナーを11名紹介します。
有名な日本人ファッションデザイナー11選
それでは、有名な日本人ファッションデザイナーを「レジェンドデザイナー」「注目のデザイナー」「若手デザイナー」に分けて紹介します。
レジェンドデザイナー
まずは世界でも評価されている有名な日本人ファッションデザイナーを3名紹介します。
三宅一生(みやけ いっせい)
国境を越えて高く評価されているファッションデザイナー、三宅一生氏。広島県広島市出身の三宅氏は、被爆という過酷な経験をしましたが、美術やデザインへの情熱を深め、世界へと羽ばたきました。
パリやニューヨークでの修行を経て、1970年に「三宅デザイン事務所」を設立。自身のブランド「イッセイ ミヤケ」は、革新的な素材と斬新なデザインで知られ、プリーツ・プリーズやA-POCなどのコレクションはファッション業界に新たな風を吹き込みました。
その功績は数々の賞や勲章によって称えられ、作品は世界の主要な美術館に収蔵されています。ファッションデザインを通じて文化やアートの可能性を広げた先駆者として、後世に大きな足跡を残しました。
山本耀司(やまもと ようじ)
独自の世界観で国内外から高く評価されている有名なファッションデザイナー山本耀司氏。自身のブランド「ヨウジヤマモト」は、オーバーサイズのシルエット、黒を基調とした配色、そして素材の質感へのこだわりが特徴です。
1972年に自身のブランド「ワイズ」を立ち上げ、1977年に東京コレクションでデビューしました。その後、川久保玲氏と共にパリコレクションにデビューし、日本人ファッションデザイナーとして国際的な注目を集めました。
西洋の服飾に対する従来の概念を覆し、服そのものが持つ形や、動きを重視した作品を生み出しています。それらの作品は、ただ着るだけではなく、身につけることでその人の存在そのものを際立たせるような力を持っていると言われています。
また、映画や演劇の衣装デザインも手がけ、特に北野武監督の映画での衣装は多くの人に知られています。ファッション界だけでなく、文化の多方面に影響を与え続ける山本氏は、紫綬褒章をはじめとする多くの賞を受賞し、その功績が認められています。
川久保玲(かわくぼ れい)
世界的に有名な日本人女性ファッションデザイナー川久保玲氏。革新的なファッションブランド「コム・デ・ギャルソン」の創設者です。
東京生まれの川久保氏は、一般企業を経てフリーランスのスタイリストとしてキャリアをスタートさせました。
1969年に「コム・デ・ギャルソン」を立ち上げた時、その革新的なデザインは、当時のファッション業界において一石を投じました。
その後、パリコレクションにデビューし、その独自のデザイン哲学である「黒の衝撃」として知られるようになりました。
穴が開いたニットや、意図的に不完全なディテールを取り入れた服など、従来の美の概念に挑戦するもので、アバンギャルドなアプローチは、西洋のファッション界に大きな影響を与え、日本のデザイナーとして国際的な名声を確立しました。
注目のデザイナー
続いては今注目されている日本人ファッションデザイナーを4名紹介します。
三原康弘(みはら やすひろ)
日本人シューズデザイナーとして有名な三原康裕氏。独自のデザイン哲学と技術で国内外から高い評価を受けています。独学で靴の制作を開始し、1996年には自身のオリジナルブランド「archi doom」を立ち上げました。
その後、ブランド名を「MIHARAYASUHIRO」に改め、1998年には初の直営店を東京・青山にオープン。独創的なデザインと斬新なアイデアで、靴だけでなくアパレルラインも成功させました。
PUMAとのコラボレーションは、世界同時発売されたスニーカーから始まり、その後も継続的に協業を行い、ファッションとスポーツの融合を提案し続けています。PITTI UOMOでのデビューを皮切りに、ミラノメンズコレクションやパリコレクションに参加し、国際的な舞台での評価も確固たるものになっています。
音楽やアートとのコラボレーションも積極的に行い、ファッションに新たな価値をもたらしています。
森永邦彦(もりなが くにひこ)
国際的なファッションシーンにおいて高い評価を受けている森永邦彦氏。2003年に「アンリアレイジ」を立ち上げてファッションデザイナーとしての活動を開始しました。
2005年、東京タワーを舞台にした東京コレクションでデビューし、その後10年間東京コレクションで活動を続け、2014年からはパリコレクションに進出しました。
その才能は国際的にも認められ、2019年にはフランスの「LVMH PRIZE」のファイナリストに選出され、同年、第37回毎日ファッション大賞を受賞しています。
2020年にはイタリアの名門ファッションブランド「FENDI」と協業し、ミラノコレクションでその成果を発表しました。
ドバイ万博の日本館の公式ユニフォームのデザインを手掛け、世界的に有名な歌手ビヨンセのワールドツアーの衣装をデザインするなど、その活動範囲は多岐に渡ります。
皆川明(みながわ あきら)
手作業による独特のテキスタイルデザインが特徴的で多方面で活躍してる日本人ファッションデザイナーの皆川明氏。祖父母の影響で北欧デザインに興味を持ち、パリ・コレクション関連のアルバイトを経験したことが、ファッションデザイナーを目指すきっかけとなったといいます。
デザイナー大西和子氏の「P・J・C」に入社し、パターン製作やレース素材のノウハウを学んだ後に、独立して「ミナ(minä)」ブランドを立ち上げ、2003年には「ミナ・ペルホネン(minä perhonen)」に名称を変更し、2004年にはパリ・コレクションに初参加。
デンマークのテキスタイルメーカー「kvadrat(クヴァドラ)」へのデザイン提供、東京スカイツリーや青森県立美術館、伊勢丹新宿本店のユニフォームデザインなど、その活躍は多岐にわたります。
衣服だけでなく家具や器、店舗や宿の空間ディレクションなど、幅広い分野でのデザイン活動を展開しています。
長尾智明(ながお ともあき)
多岐にわたるクリエイティブ活動で注目を集めている長尾智明氏(通称NIGO®)。1993年に高橋盾氏と共に原宿に「NOWHERE」をオープンし、1990年代には裏原宿系ファッションブランド「A BATHING APE®」を立ち上げました。
独特のカモフラージュパターンや猿のキャラクターが特徴で、世界的に有名なブランドへと成長しました。
その後、ファレル・ウィリアムス氏と共に「BILLIONAIRE BOYS CLUB®」と「ICE CREAM™」を設立し、ファッション界での影響力をさらに拡大。2010年には新たなライフスタイルブランド「HUMAN MADE」を立ち上げました。
その後、さまざまなブランドとのコラボレーションや、アートディレクター、音楽プロデューサー、インテリアデザイナーなど、多岐にわたる分野で活躍しています。
2021年にはファッション界での長年の経験と実績を認められ、フランスの高級ファッションブランド「KENZO」のアーティスティックディレクターに就任しました。
また、音楽界でもHONEST BOYZ®のプロデューサー兼DJとして活躍しており、その才能はファッション界に留まらず多方面に及びます。
若手デザイナー
最後にこれからのさらなる活躍が期待されている若手の日本人ファッションデザイナーを4名紹介します。
小泉智貴(こいずみ ともたか)
2020年、若手デザイナーの登竜門でもある「LVMHプライズ」のファイナリストにも選ばれた小泉智貴(TOMO KOIZUMI)氏。
1988年生まれで、ジョン・ガリアーノの作るドレスに憧れ、2011年に自身のブランド「TOMO KOIZUMI」を設立し、衣装制作などを通じてキャリアを築きました。
大胆なフリル使いと独特のボリューム感、鮮やかな色使いが特徴的で、2019年には、スタイリストであり元『LOVE』マガジン編集長のケイティ・グランドによって才能を見出され、ニューヨークでの初ファッションショーを成功させました。
東京2020オリンピック開会式で国歌斉唱を務めたMISIAが着用したマルチカラードレスは小泉氏がデザインしたもので、大きな話題を呼びました。
また、同年には毎日ファッション大賞を受賞し、ニューヨークのメトロポリタン美術館やオーストラリアのヴィクトリア国立美術館に作品が所蔵されています。
坂部三樹郎(さかべ みきお)
新たなファッションシーンを担う存在として注目を集めている坂部三樹郎氏。ロンドンのセントラル・セント・マーチンズでアートを学び、その後ファッションへと転向。
エスモードでファッションの基礎を学んだ後、アントワープ王立芸術アカデミーでファッション科を主席で卒業しています。
アニメやマンガなど二次元の文化を取り入れた作品で知られ、その独創的なデザインが特徴的です。
アントワープでの学びを経て、台湾出身のシュエ・ジェンファン氏と共に「MIKIO SAKABE」を設立し、パリコレクションにも参加し、東京とパリを中心に活動を展開しています。また、アキバ系アイドルや現代アートとのコラボレーションも行い、新しいファッションシーンを創出しています。
後藤慎平(ごとう しんぺい)
業界内での存在感が高まっている日本人ファッションデザイナー後藤愼平氏。ヴィンテージショップ「LAILA」に入社し、その後ブランド「セブン バイ セブン」の立ち上げメンバーとして企画や生産管理に携わっています。
退社後は25歳で「M A S U(エムエーエスユー)」のデザイナーとして活動を開始し、2018年秋冬コレクションから本格的にブランドをリードしています。
後藤氏の作品は、複雑な加工や繊細な縫製、キャッチーなデザインが特徴で、手が届く価格帯で展開されています。ビームスやトゥモローランドなど国内有名セレクトショップに卸されるなど、その存在感は急速に高まっています。
ファッション業界における若手の立場から見た業界のあり方にも言及し、独自の視点で業界を見つめています。
井野将之(いの まさゆき)
2018年にアジア人として初めて「LVMHプライズ」のグランプリを受賞したことで世界的に有名になった井野将之氏。
企業デザイナーとしてのキャリアを積むも独立は軌道に乗らず、浅草のベルト工場で働く中で三原康裕氏の「MIHARAYASUHIRO」に師事。
その後、パタンナーの村上高士とともにファッションブランド「doublet(ダブレット)」を創立しました。doubletは2013年春夏コレクションからデビューし、「Tokyo新人デザイナーファッション大賞」プロ部門で最高位の東京都知事賞を受賞、その後も「TOKYO FASHION AWARD 2017」を受賞するなど、着実に実績を積み上げています。
2020年には「PARIS FASHION WEEK」公式スケジュールでプレゼンテーションを行うなど、今後のさらなる活躍が期待されています。
ファッションデザイナーの仕事に興味がある方へ
この記事では、有名な日本人ファッションデザイナーを11名紹介しました。業界内で誰もが知っているレジェンドデザイナーから今後のさらなる活躍が期待されている注目デザイナー、若手デザイナーまで、幅広い世代のデザイナーを取り上げました。
もしこの記事を読んでいる方の中で、ファッションデザイナーの仕事に興味がある場合にはファンション関連の知識やスキルを身につけられる専門学校への進学を検討してみてはいかがでしょうか。
東京服飾専門学校は、ファッションデザイナーを目指す人々が、実践的な技術や知識を学べる場所です。ファッションデザインの基礎から応用までを学べる幅広いカリキュラムで、デザイン理論、素材知識、縫製技術、トレンド分析など、ファッション業界で成功するために必要な様々なスキルを身につけることができます。
また、実際の業界で活躍するデザイナーや専門家から直接指導を受ける機会も豊富にあり、実践的な経験を積むことができるのも大きな魅力です。さらに、自らコレクションを制作し、ファッションショーや展示会で作品を披露する機会もあります。
少しでも興味がございましたら、オープンカレッジや学校見学・個別学校説明会にぜひご参加ください。