モデルを目指す人の夢を応援する『美トレ 2020』。
ゲストトークコーナーの3組目は、
朝日広告賞や毎日デザイン賞も受賞した写真家で、
公益社団法人日本広告写真家協会・副会長の
鈴木英雄様にご登壇いただきました。
--カメラマンから見た"良いモデル"の条件とはなんでしょう?
鈴木「1にも2にも、まずは『性格』ですね。
モデルの仕事をしていれば夕陽が落ちる寸前に撮りたいとか
遠くのロケ地で撮りたいとかいうときに、
時には長い待ち時間や長距離を移動します。
そういうときは誰でも愚痴ぐらい言いたくなりますけど、
雰囲気を良くする会話ができる人が良いですよね。
愚痴でもスタッフを笑わせるような話にして場を和やかにしてくれます。
私も大手化粧品の広告等で色々なモデルさんや女優さんと
仕事をしてきましたけど、いま活躍している方々は
そういう気遣いができる人が残っていますよね。
もし本気になって愚痴を言って空気を悪くしたら、
スタッフもその場では“ゴメンね”ってなだめるけど、
内心“あの子は二度と使わないぞ”って思われてしまいます。
--スタイルや顔が一番ではないですね。
「もちろん外見も大事ですけど、僕たちはプロですから
ある程度のモデルなら一定以上の写真は撮れます。
それは現場に関わるスタッフはみんな同じです。
モデルさんが現場で裏方のひとりひとりにまで、
“今日はよろしくお願いします”と挨拶して回ったりすると、
現場が“この子を売り出そう!”って空気になります。
“少し鼻の下の影がキツく出ているかな……”とか
“背景が少しゴチャゴチャしすぎたかな……”など、
普段だったら時間の制約もあるし見過ごすようなことも、
スタッフが味方になっていれば面倒でも組み直して、
各分野のプロの技術を結集した最高の写真になります。
それは当然売れる可能性も高くなりますよね」
--モデルはコミュニケーション能力が大事ですね。
鈴木「昔はモデル事務所に所属したら、
カメラメーカー主催のアマチュアカメラマンの集まる
撮影会などのイベントに参加させられました。
まず現場に放り込んで、コミュニケーションや
笑顔の作り方、ポーズなどを鍛えられる、
ということでしょう。
でもアマチュアカメラマンの集まる撮影会では、
口の悪い参加者に嫌なことを言われたりして、
モデルの夢をあきらめてしまう子もいました。
私がこの学校にモデルを育成するクラスを作る
と聞いたとき、こうした笑顔やコミュニケーションを
学校の授業として教えてもらえるというのは
非常にいい機会になるのではないかと思いました」
カメラマンの視点で語る“良いモデルの条件”に、
参加したモデル志望の人たちは熱心に聞き入っていました!
鈴木様、ありがとうございました。