——城田さんの現在されているお仕事について詳しく教えてください。
城田:ファッション雑誌のスタイリストとして、タレントさんなどのスタイリングを担当しています。「Ray」「GINGER」といったティーン向けからアラサー向けのものまで、幅広くお仕事させていただいていますね。雑誌はテーマがしっかりと決められていて、編集の方の意見を取り入れながらの作業になります。そのテーマに沿ったアイテムをいかに効率よく、たくさん集められるかが勝負ですね。
——スタイリストのお仕事で楽しいところ、大変なところというと……。
城田:とにかく、季節を先取りした洋服が見られることが一番楽しいですね。今(2012年10月)だと、もう2013年の春夏モノの情報が入ってくるんですよ!
逆に大変なことは、体調管理。スタイリストはヘアメイクさんなどと違って、撮影日よりもその前後にやらなければならない作業の方が多いんです。たとええば、衣装を借りて返すまでに1週間、2週間かかることもあります。とくに私はアシスタントが居ないので、ひとりでいかに効率よく動けるかを常に考えながら仕事をこなしていかなければならないので……。でも、そんな苦労がクライアントに認められて「次もぜひ城田さんにお願いしたいです!」って言われるとすごく嬉しいですし、「次も頑張ろう」って励みになりますね。あと、先日ひとつ下の後輩から「お願いしたいお仕事があります」っていう相談メールをもらったんです。この仕事を続けてきて、そうやって私のことを覚えていてくれる人が居ると「この仕事やってて良かったなぁ〜」って思いますね!
——仕事で行き詰まったりすることはありますか? そのときはどのようにしてご自身のモチベーションを保っていますか?
城田:そういうときは、仲の良い雑誌の編集者さんや、他のスタイリストさんと話します。例えば、現場に置いてある雑誌を見て、「この服どう思いますか?」とか。そんな何気ない話から、「次はこういう感じのテイストの写真が撮りたい」などといった情報交換ができますし、次の仕事のヒントになったりもするんですよ。
城田:当たり前のことかもしれませんが、“どんな仕事でも楽しくやること”を心がけていますね。あとは、ファッションテーマが決まっている中でも、自分なりのテイストやこだわりを少しでも入れられるように考えます。そうすることで、毎日何着も着替えているモデルさんに、「今日の服は全部かわいかった!」と言ってもらえると、「少しでも記憶に残るコーディネートができたんだ」と嬉しく思いますし、また次のやる気にも繋がります。
——tfac在学中、特に印象に残っている経験は?
城田:カメラの授業ですね。当時は本当に、「何で私がカメラの授業なんてやらなきゃいけないの!」って思っていましたが(笑)。いざ現場に出てみると、カメラマンさんの次の動作が分かったり、「ここに被写体が居た方が綺麗に見える」とか、そういうことが分かるのと分からないとでは、全然違うなと実感しました。在学当時は何気なく受けていた授業が、現場ではとても役に立っていますね。
授業以外だと、運動会とか先輩後輩関係なくコミュニケーションがとれるイベントは印象深いです。卒業生と一緒に仕事をする機会はあまり無いのですが、先日、ひとつ下の後輩から「お願いしたい仕事があります」ってメールで相談されたときは、すごく嬉しかったなぁ(笑)。
——これからスタイリストを目指す人へメッセージをお願いします。
城田:スタイリストは、雑誌やテレビだけではなく、映画など様々なジャンルに挑戦できる仕事だと思います。私は10年以上この仕事を続けてきましたが、まだまだ新しい発見がたくさんあって毎日がとても楽しいです。どんな仕事でも大変なことは多いと思いますし、スタイリストも根性と我慢が必要です。でも、そのぶんとてもやり甲斐のある仕事なので、みなさんにも頑張ってほしいです。
スタイリスト 城田望さん
2002年度、スタイリスト科卒業。
卒業後、kind所属のスタイリストとして、ファッション雑誌を中心に女性タレント、モデルなどのスタイリングを担当している。その他、テレビや映画のスタイリングを手掛けることも。