8月22日、当校の卒業生で衣装デザイナー&スタイリストの米山裕也さんがご来校され、ゲストトークを開催いたしました。
衣装製作には、衣装を着るご本人も関わることがあるんですか?
「もちろんです。オファーを受けたら、まずコンサートのテーマやコンセプトに合わせて、衣装をどんな感じにしたいのかっていうのを打ち合わせします。その時にアイドル側からオーダーがあったりしますね。そのアイデアがどうやったら一番活きるのかっていうのを提案します。出来上がったデザイン画はご本人に確認して頂き、納得して頂いてから製作します」
グループ衣装を製作する際に気を付けていることは何ですか?
「それぞれの個性を出しながらも、グループのバランスを崩さないように意識していますね。例えば、1人だけ衣装の丈が短いとか、色味が極端に暗いとか……そういうことが無いように気を付けています。後は、なるべくその人のスタイルを良く見せられるようなデザインを考えています」
フィッティングに立ち会うことはあるんですか?
「はい。フィッティングに立ち会って、実際に本人が着たのを見てバランス・大きさ・サイズ感を確認します。実際に着てみると、ダンスを踊るときにこの丈だと邪魔だとか、動きにくいっていう問題が出てくることがあるので、そこで修正をし たりします」
1回のコンサートでどの位の衣装を作るんですか?
「コンサート全体で大体5〜6回くらい着替えがあるんですが、それを一人で担当するときもあるし、別のデザイナーさんと分けてやることもありますね。2人でやるときは、最初にどういうイメージで行くかを打ち合わせして、同じような衣装が出来ないようにしています」
デザインを考えるときに大切なことはなんですか?
「要求されたものをコンセプトに合わせてデザインすること。その上で更に、その人たちらしいものを提案していくことですね」
こだわって製作する中で、予算をオーバーしてしまうなんてこともあるのではないですか?
「ありますね。実際に作ってみないと、いくらかかるかってことは分からないじゃないですか。これ位かかるかな? って予想出来るような、前例があるものをやっていたら、いつまで経っても同じような衣装しか出来ないんですよ。失敗してもそれは次に活かせるので、やったことがないものにどんどん挑戦していかなきゃいけないと思いますね」
様々なアイドルの衣装を担当している米山さんですが、時間に追われることもあるのでは……?
「あります。オーダーが来た時点で既に時間が足りないなってこともあるんですが、そういうときはどうやったら間に合うのかって考えますね。例えば刺繍をする衣装があるとしたら、最初に刺繍をしてもらって、その布を裁断して、縫製して……っていうのが普通なんですけど、そんな時間が無いときは、刺繍の部分と、衣装制作を別々に同時進行で行って、最後にドッキングさせるようにするとか。どうやったら納期内に完成させられるかって考えるのもデザイナーの仕事のひとつなので、服作りの行程は知っていた方がいいと思います」
学校で学んで、今も役立っていることはなんですか?
「基礎知識は学校で学びましたね。その後実際に現場に出てみてから、基礎の大切さが分かりました」
お仕事のやりがいはどんなところですか?
「頭の中に描いた今までにない新しいことが、上手くいったときにやりがいを感じますね。イメージ出来ても、形にしてみたら違うってことはよくあるんですよ。だから思った通りに形になったときには嬉しいですね」
デザインを考えるとき、生地から考えることはありますか?(2T藤谷さん)
「あります。この生地があるから、こういうものを提案しようって考えることもありますし、このデザインだからこういう生地を使おうっていうパターンもあります。それは場合によりますね。いい生地を見つけたとき、可愛い衣装が出来そうだな〜って思っても、カッコいい衣装を作って欲しいって言われたら、
その生地はボツになっちゃうんですけど、他のときに使おうかなって思って、とりあえず買っちゃったりもしますね」
お忙しい中、大変貴重なお話をお聞かせ頂きました。米山さん、本当にありがとうございました!