先日、1年スタイリスト科の講演会のゲストとして松竹芸能 タレント兼スタイリストの深海様がいらっしゃいました。
スタイリストを目指す上で、やっておいた方がいいことはありますか?
「好きな雑誌を決めておくとこと! そして、その雑誌のスタイリストさんを調べるといいと思います。スタイリストって自分自身のカラーだったり、自分らしさをしっかり世の中に発信していくことが一番大事なの。自分がタレントさん側から『この人だったらこういう風にしてくれるだろうな』って思われることが大事です!」
なぜスタイリストになろうと思ったんですか?
「子どもの頃、すごく貧乏で服を買えなかったんですよ。自分が我慢していたからこそのギャップがあって、凄く服が好きで憧れがあって。ショップ店員さんも経験したあと、自分が好きなスタイリストさんを探して、その人に付きたいと思ってお願いして、アシスタントになったのがきっかけですね。」
学生時代にすべきことはなんですか?
「2年生になったら私たちの授業があるんですけど、最初に自己紹介をしてもらうんですよ。でも、普通の自己紹介じゃ誰にも覚えてもらえないの。アパレル業界に就職するなら、自分自身を価値のあるものにしないといけない。そうしないと、人に使ってもらえない職業。だってスタイリストっていっぱいいるんだから、誰でもいいじゃない? 私じゃなきゃいけない理由ってその人の“人間力”だから、いかに自分を好きになってもらうかが大事。だから、自己紹介がうまくなるっていうのはすごく大事」
日頃心がけていることはありますか?
「これは、スタイリストになる人もそうだし、アパレルに就職する人もなんだけど、みんなそこで終わりで良いって訳じゃないじゃない? アパレルだったら店長だったり、エリアマネージャーとかになったり? どんどん上を目指していく訳じゃない? そのときに、最終的に必要になるのは決定する能力だと思うの。スタイリストって半年先を見なきゃいけない仕事。要はこれを打ち出しましょうって決めること。雑誌でも、タレント専属でも、こっちの方がおしゃれなんですって自分で決めて、それをすすめる。これが可愛いですって決定する意思能力が一番大事だったりします」
スタイリストになってからするべきことはなんですか?
「この人がどういう服が好きかっていうリサーチ能力がすごく大事。わたしも、初めてやらせてもらう人のときは事前にその人のインスタを見たりとか、その人がどんな私服が好きかっていうのとか調べるの。みんな誰かに服プレゼントすることってあるでしょ? そのとき、なんとなく好みってあるじゃない? この人チェック好きだからチェックあげときゃ間違いない、みたいなそんな感じね」
お仕事で失敗してしまったことはありますか?
「いっぱいある。韓国でロケがあったの。飛行機だから、荷物全部広げて、しわを伸ばさなきゃいけないじゃない? でもアイロンが壊れちゃったの。ホテルに借りようと思ったらアイロンが無くて大変! でも、服のしわが伸びてないことは私のミスだし、そのまま本番にいく訳にはいかないから、あらゆる手を使ってしわを伸ばさなきゃいけないの。でも、夜の便で行ったからもう夜11時くらいで、次の日は朝5時から撮影だから、買いに行けないわけ。だから、ネットでしらべたら、やかんでアイロンの代わりになりますていう情報を見つけてたの。やかんめっちゃ必要ですって言ってやかん借りて、やかんにお湯溜めて、アイロンみたいにかけるんだけど、やかんの口からお湯が出てきたりしてあっつ〜! ってなりながら4時間くらいかけてしわ伸ばしてたのが失敗談かなぁ。次の日乾いてたから結果オーライだけどね。スタイリストってみんなめっちゃ準備するんだけど、その準備が全部覆るときがあるから」
最後にひとこと、メッセージをお願いします。
「結局一番大事なのは好きっていう気持ちなのよ。それがあるとがんばれるの。スタイリストになるのは凄く難しいけど、みんなになってほしいって思ってるのよ。人見知りとか、コミュニケーションを取るのが苦手とか、そういうのはいいです。好きって気持ちは誰にもまけないぞっていう気持ちはずっと持っていてほしいですね」