——大橋さんは、TVから雑誌まで、幅広く活躍されてますが、スタイリングの内容は変わりますか?
大橋:はい。かなり違いますね。雑誌の場合は、まず編集者の方と、撮影内容と衣装の方向性の打合せをします。その後、実際に洋服を借りに行って、コーディネートして撮影。最後に衣装の返却となります。一方、テレビの場合は、事前の打合せがないので、担当するタレントさんに似合う洋服を借りて、収録に立ち会う。最後に返却というのは一緒ですね。
——このお仕事をしていて、楽しいところ、大変なところというと……。
大橋:自分が考えたコーディネートが、タレントさんに喜んでもらえた時とか、雑誌のページなどに作品として形に残ることがうれしいですね。大変なところは、タレントさんや現場スタッフとのコミュニケーション。現場の雰囲気作りというのは、タレントさんやカメラマンだけじゃなくて、ヘアメイクさんや私たちスタイリスト、みんなで作り上げて行くものなんですよ。
——仕事をする上で、常に心がけていることは?
大橋:どんな仕事でも必ず“私のオリジナル”の要素を盛り込むようにしています。例えば、誰に依頼しても同じような結果になるような仕事だったとしても、最終的に「私に頼んで良かった」って思われないと、次の仕事につながらないので。“私のオリジナル”の要素というのは、衣装のリメイクや小物作りなどで、私らしいセンスや人が真似できないような作り方をすることです。
——“私のオリジナル”を盛り込んで、実際にどのような反響がありましたか?
大橋:モデルの女の子から「また、絶対にスタイリングしてほしいです!」と言われて、次から指名で依頼が来るようになりました。ほかにも製作スタッフから「この撮影の企画を考えた時、スタイリストは大橋さんしか考えられなかった」とか、「大橋さんにお願いすれば、何かおもしろい衣装の提案が出てくるに違いないって思った」と言われた時は、これまでの努力が評価されたんだなって、本当にうれしかったですね。
——tfac在学中、特に印象に残っている経験は?
大橋:在学中の研修には積極的に参加していましたね。とにかく現場の経験を積んでいきたいと思っていましたから。それでますますスタイリストという仕事に魅力を感じるようになったんです。当時、学校にさまざまなスタイリストさんからの研修依頼が来ていましたが、私は自分で探した、「(株)ミニーコーポレーション(タレントやアナウンサーなどのTV・CMのスタイリングを担当する事務所)という会社に研修に行きたい」と、先生にお願いをしました。先生も会社の方と会って話をしてくれて……。そこから、長期研修に入ることになり、やがて内定へとつながったんです。そちらで4年間お世話になってから独立したので、研修に行っていなかったら今の自分はなかったと思います。
——これからファッション業界を目指す人へメッセージをお願いします。
大橋:スタイリストを目指すなら、自分のセンスを磨くことも大切ですが、自分の好きなジャンル以外のファッションについても知識がないとダメだと思います。好きなタレントに好きな洋服を着せる仕事だけじゃなく、苦手なジャンルの衣装でスタイリングを頼まれることも……。どんな依頼が来ても対応できるように、ラフォーレ原宿や渋谷109にどんなブランドがあって、どういう特徴の洋服を扱っているか、なかなか興味の持てないジャンルでも知識だけは身につけるといいと思います。頑張ってください!
2002年度、スタイリスト科卒業。
在校時から、テレビのニュース番組やバラエティ番組のスタイリングを行う事務所に研修として入り、卒業後入社。アナウンサーやタレントのスタイリングを担当する。
2007年、フリーランスとして独立。現在は日本や台湾の著名タレントのスタイリングを手掛けている。