今回の直撃インタビューは、デザインユニット・GO SOUTHの設立者で、エッジの効いたロックファッションのデザイナーをしている市川さん。お仕事の魅力や苦労話などを聞いちゃいました!
今回の質問者:2D高橋真子さん 1KB:戸井田美咲さん(2D=デザイナー科、1KB=基礎課程Bクラス)
戸井田:今までお仕事をされてきて、一番楽しかったことは何ですか?
市川:ファッションショーですね。ファッションショーってファッション業界の中で唯一、皆さんに見せられるわかりやすいエンターテイメントだと思うんです。僕達が作り込んでいったモノを見ていただいて、楽しんでもらう。その様子を見てこちら側も楽しむということができるので!
戸井田:逆に一番辛いときは?
市川:それもファッションショーでしょうね(笑)。本当に大変で…。ショーが終ったその日に、撤収して車に積み込んで家に向かうんですけど、途中で運転できないほど眠くなってきて、パンパンの荷物にまぎれて6時間くらい寝ちゃうっていう状態で。楽しいぶん、辛いことも多いです。ものすごい緊張もしますし。僕のショーは基本的に1回きりで、その1回のために何ヵ月も時間をかけていろんな人に協力を得ることになるんですよね。そこに対する緊張感や使命感、終わった後の疲労感はすごいです。
高橋:AAA(トリプルエー)やゴールデンボンバーの鬼龍院翔さんなど、いろいろなアーティストの方に衣装を提供していますが、舞台を実際に見たときの気持ちは?
市川:純粋にうれしいです。特に独立してからはうれしいですね。なぜかというと、独立しようかなと思った理由のひとつに、「僕の服が必要とされるのであれば、すべての方にお渡しして行きたい」というのがあったので。町を歩いていてすれ違いざまに「あれうちの服だ!」って気付くのは、デザイナー冥利に尽きるなって。
戸井田:デザインは描こうと思って意識的に書き始めるんですか? それとも日常的にふと思いついたりするんですか?
市川:なんでしょうね…四六時中、悶々としてるですよね。なんかこう…断片みたいなのがずっとふわふわっと浮かんできて…。それがある日、ぱちぱちって繋がる日もあるし、あー作らなきゃダメだって、バチって意図的に考える日もあるし。そのときにふわふわがいっぱいある中でいらないものもあれば、いるのもあるっていう感じでカタチにするときもあります。
戸井田:学生時代に「(アートや映画など)こういうのを観といた方がいいよ」とか、体験しとくべきことがあれば教えてください。
市川:どっちかなんですよね。一切何も観ないか、たくさん観るか。僕が会社に入った時、当時の社長に言われたことは「お前なんかが観てもダメなんだ」って言われて。「服もモノも観るな。お前の中にあるよくわからないものを全部出せ。泣きじゃくってでも良いから出せ。まずそこからだ」って。そう言われてハッとなって、何も観ないことを決めました。今は昔よりは観るようになりましたけど。いろいろ観るより、まず学校を卒業する前に100着の服を作れば良いと思いますよ。
高橋:100着ですか!? それはかなり大変ですよね…。
市川:たしかに100着作るのは大変ですよ。でもみんなを待ってるファッション業界では、そんなのあたり前。半年に1回のコレクションブランドをやるときって、3日に1着くらいのペースで120着くらい作りますから。だから、それをやらないといけないんだよっていう…ね。まぁ、100着作る前にアイディアなんて12着目くらいで枯れるに決まってます。でも100着作らないといけないなって時に、なにをどう出すかってことが重要で。そのときに考えてた12着より、出し切った後の88着のほうが個性がにじみ出るっていうのが僕の持論なんですよ。それくらいやるんだったら、他のモノは観なくてもいいんじゃない?って思いますから。作りもしない、観もしない。それはダメです。だから学生中に何をしたらいいかって言ったら、僕はどんだけ作るかだと思います。
高橋、戸井田:今日は参考になるお話、ありがとうございました。
内田:学生のうちに吸収できるものは吸収していけば、その先に選択肢がいっぱいあるでしょう。今はどんな事でも中途半端にやるのが一番もったいないと思いますよ。頑張ってくださいね。